出版社内容情報
国際競争で特定の国の産業や企業が成功するのはなぜか。世界の主要貿易国10か国を6年間調査・研究し,メカニズムを解明。
内容説明
国際競争で、ある特定の国の産業や企業が成功するのはなぜか。世界の主要貿易国10カ国―デンマーク、ドイツ、イタリア、日本、韓国、シンガポール、スウェーデン、スイス、イギリス、アメリカ―を6年間かけて調査・研究し、国が経済的に繁栄し、衰退するメカニズムを明らかにする。
目次
1章 新しいパラダイムの必要
2章 クローバル産業における企業の競争優位
3章 国の競争優位の決定要因
4章 国の優位のダイナミックス
5章 国の競争優位に関する四つの研究
6章 サービス業における国の競争優位
7章 国の競争優位のパターン―戦後初期の勝者
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヒデアキ
1
再読。国別の考察・分析はさすがに時代錯誤感はあるが、4つのダイヤモンドのフレームは非常に有用であると思われる。要素技術・国内需要・関連支援産業・経営政策。2022/09/28
ヒデアキ
1
「競争の戦略」「競争優位の戦略」の考察で用いた分析手法(5フォース、バリューチェーンなど)を産業・国家レベルに応用して国毎の競争優位の源泉を明らかにしようと論じた本。上巻は4つのダイヤモンドというフレームワークの提唱と国別の研究前編までを守備範囲としており、下巻に掛けて公共政策の言及などにつながっていく。 今、読むと少し古い考察だが非常に知的好奇心をそそられる内容。そして、宗教や哲学、思想体系(資本主義、共産主義など)にも明るくなると本書内容を深く理解できそうに思えた。2021/11/17
Jiemon
0
成功企業は予測能力と安定性を求める。自ら保有するものの防禦に専念し、どんな変革も失うものが大きいという心配で薄められてしまう。古い優位を捨てて新しい優位に代えようという考えは、古い優位がなくなった後でなければ生まれない。--この意味では追いつこうとする企業の方が面白い。 有能なライバル企業が多いと、外国のライバルとの競争では、真似のできない競争を育て維持するのに肥沃な環境が生まれる。相互に連結し合った産業グループが形成される。--日本の機械、電気産業は良い環境だ。まだまだ、中国、韓国企業には負けない。2013/12/01
kj
0
ここ2年ほど読めなければと思いつつ、読めていなかったのですが、ようやく読みきりました。日本企業の競争力低下が叫ばれつつある昨今、読みがいのある本でした。【需要条件】、【要素条件、【関連支援産業(産業クラスター)】、【企業の戦略、構造およびライバル間競争】によって、国(というかその国に属する産業)の競争力が決まるという論理。ある程度理解は出来るが、その論理は平凡すぎないか?ということも感じます。 ただし、国という比較単位を90年という段階で引っ張り出し、特定の産業に限らない議論を提起したのはさすがと思います2012/11/03
デンプシー
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二巻まとめて投稿。>日本の産業が発展・衰退した理由を巡る言説は世間に溢れており、それらはどれももっともらしく思われるものの、あまりにも土俵がバラバラで収拾がつかなくなっている印象がある。そうした中で、本書は産業、国、時代を越えて適用しうるフレームワークを提示し、豊富なケースを通してその妥当性を検証していく。刊行から30年経った今日の議論も受け止めるポーターの理論の包括性には驚かされる。2022/10/09