内容説明
企業と政府だけでは社会の問題は解決できない。経営学の巨匠が示す新たな経済社会とは?
目次
第1章 アンバランスの勝利
第2章 資源をしぼり取らずに、知恵をしぼる
第3章 バランスの取れた社会に必要な「第三の柱」
第4章 抜本的刷新
第5章 問題を抱えた世界におけるあなたと私と私たち
第6章 アンバランスへの不満と変革への提言
著者等紹介
ミンツバーグ,ヘンリー[ミンツバーグ,ヘンリー] [Mintzberg,Henry]
1939年生まれ。カナダのマギル大学クレグホーン寄付講座教授。経営思想界のアカデミー賞と言われるThinkers 50で3人目となる生涯功績賞(Lifetime Achievement Award)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
5 よういち
91
著者は経済学の巨匠と言われるヘンリー・ミッツバーグ。 共産主義は崩壊し、大企業と一部の富裕層だけが肥えていく結果となった資本主義。両主義共に救いようのない欠陥を露呈している現在、二者択一しかなければ我々は身動きがとれなくなってしまうのだと。必要なのは、官にも民にも属さない、いわゆる第3セクター。今や、民主主義や、地球や、私たち自身を破壊しつつある経済構造にメスを入れ活路を開くには、第3セクターによるバランス取りが必要な時を迎えた。◆第3セクターが期待されることをどれほど認識し、やっていけるのか...2019/12/14
おさむ
42
グローバル資本主義の進行で多くの国が「バランス」を失い始めている。自由民主主義が機能不全を起こし、対立が過熱している。日本もまたしかり。私たちの敵は誤って理解されている個人主義と利己主義。求められるのはコミュニティシップ。政府、民間に加えた多元セクターを第3の柱とするという主張はとてもまともで、首肯するばかりでした。羊飼いの少年ダビデが投石機で巨人ゴリアテを打ち負かしたように、知恵を働かせて、賢い抵抗をしていこう!2016/12/30
壱萬弐仟縁
37
2015年初出。ゴシ太本。経済人とは、強欲は好ましく、所有権は神聖不可侵で、市場にすべて任せておけば万事うまくいき、政府のことは疑ってかかるべきだと考える人間(020頁)。本書では、ひたすら競争し、物欲を追求し、消費をするものと決めつける経済学の教義に異を唱える(024頁)。資本主義はモノとサービスを提供するための企業設立と資金調達を可能にする仕組みを表現する言葉だった。が、人間が目指す最大の目的になったのはなぜか?(030頁)真に強力な経済とは、成長が実現しているかどうかを、質を基準に判断する経済。2016/05/27
koji
16
週刊ダイヤモンド「ベスト経済書2016年」2位。著者は経営学者で、タイトルは意外感がありましたが、補章に、リーマンショック以後の経済危機はマネジメントの危機であり、その要諦であるコミュニティ精神の欠如への危機を軸に、そこから深く思考していきます。政府、民間がアンバランスになると、国家独裁、収奪的資本主義になるが、この2つにコミュニティを入れて3者のバランスを取ることに希望を見出します。成程、米国にはコミュニティの伝統があります。では日本は?これはNPOが救うかもしれません。2017年の問いと受け取りました2017/01/01
patosan
11
資本主義にも良い点、悪い点がありますが、あまりにも資本主義だから○○だ、といった論調は避けた方が良い。作者も述べていたが、社会のバランスを保つことが大切だと思います。二項対立で物事を考えるのではなく、中立立場で思考できたらいいな。2016/05/07