内容説明
浪布・雪・薮畳・手拭・屏風・血のり・差し金・擬音笛・傘・柝・煙管・附張・鬘・消えもの…舞台を裏で支え、そして演技するモノたちをキーワードに、歌舞伎のもう一つの面白さと、魅力を語る。
目次
大道具の仕事
芝居を変えた江島生島の火遊び―歌舞伎のシンボル定式幕
のべつ幕あり―幕の種類と用法様々
定式とは常識なり―大道具の寸法
神秘の布―浪布の芝居
「弓張月」船の恐怖―舟だんまりの仕掛け
三角の雪―紙の雪の乱舞
日・英・中の文化交流―変化自在の薮畳
衣裳・鬘・着肉など
色、いろいろ―ホームカラーとホームデザイン〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
筋書屋虫六
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歌舞伎の伝統を支えているのは役者の演技の伝承だけでなく、実に多くの「技術」です。大道具、小道具、床山、御簾内…、全てが舞台に合理的に存在し、意味を持ち、芝居を支えています。まさに語らないモノはない。だからこそ歌舞伎は奥深く面白いのだと今更ながら納得しました。長年国立劇場で制作の第一線で活躍されていた織田紘二さんの愛情のこもったエッセイ、一編一編は短いけれどとても濃い中身、貴重な技術を伝えることの困難さも伝わってきました。10年前に上申された本ですが、もっと早くに手にとるべきでした。2010/06/27