出版社内容情報
様々な言語・民族・宗教が渦巻き、ヨーロッパの火薬庫と呼ばれたバルカン――。 言語地理学を志した著者の初の海外調査先は、その中でも危うい平和と統一を保っていた旧ユーゴスラヴィアだった…。
内容説明
様々な言語・民族・宗教が渦巻き、ヨーロッパの火薬庫と呼ばれたバルカン―言語地理学を志した著者の初の海外調査先は、その中でも危うい平和と統一を保っていた旧ユーゴスラヴィアだった。暖かい人々と複雑な民族社会の中で言語調査に取り組んだ日々をユーモアと哀しみをこめて語る。言語学者のバルカン体験記。
目次
1 そもそもの始まり
2 フィールドワーク開始
3 言語地図を作る
4 ことばからみたバルカン
5 食はバルカンにあり
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
リョウ
4
1980年代から90年代にかけて、旧ユーゴスラヴィア、その中でも特に現在も北マケドニアに当たる地域を中心にして言語の分析を行った著者。現地で使われている言語を分析するに当たっては、当然に現地の人たちとの間でふれあい、言語以外のことも体験してくることになる。複数の民族が一つの国家を形成し、それが超越的な人物の死とともに徐々に瓦解していく様子も窺われる。バルカン自体は行ったことがないものの、どこか郷愁を誘われる、そんな気分になる。2020/09/27
羊の国のひつじ
4
マケドニアの言語地理学研究について。セルビアやクロアチアとの言語的な違いが意外とあることに驚いた。「似ていることに対する反発と愛着」という言葉が印象に残った。日本からすれば韓国人や中国人みたいな存在なんだろうか。旧ユーゴスラビアの人々の生活が垣間見えるようで面白かった、バルカンの料理をもっと堪能してみたくなった。家庭料理はうらやましいなぁ。2017/12/17
yurari
3
フィールドワークする、というタイトルだが、フィールドワークに関する記載が薄いように感じた🤔(全てを書いていないのかもしれないが、えっ…これで研究費が出るんだ…というのが正直な感想)話がいったりきたりするのも気になる。食はバルカンにあり、の章は面白かった。バルカンでポピュラーな地酒ラキヤ。農家の裏庭にはラキヤ蒸留装置が置いてあり、発酵した酒を熱して蒸留し純度を高めるとのこと。ただ最近では裕福な家ほどラキヤが少なく、良い酒があると言って持ってきてくれるのがジョニーウォーカーだったりする。う〜ん複雑。2023/02/06
てり
2
とっても面白いエッセイでした。女性言語学者の奮闘記と土地土地の人びとの暮らしが、マケドニア愛・バルカン愛にあふれる語りで綴られていてなんともいい気分になる読後感。言語学に関する記述も専門性をギリギリ抑えたよいバランスで、全く馴染みのない自分にも興味深く読めて満足。望外の一冊でした。2023/10/08
takao
1
ふむ2023/03/11