出版社内容情報
シリーズ解説:
「彼を知りえたことは私の生涯の中で最も刺激的な知的冒険の一つであった」という B・ラッセルの証言を引くまでもなく、ウィトゲンシュタインの哲学的思索の軌跡は、二十世紀の知的世界が遭遇した一つの事件であった。比類のない分析力のおもむくところは、論理的に完璧な言語の構想から、具体的な語の使われ方に文法を見出そうとするところにまで及び、考察の照準は、一貫して言語の批判に向けられていた。
内容説明:
後期思想への最良の入門書
1930年代は、ウィトゲンシュタインの生涯のもっとも生産的な時期であった。それはまた、『論理哲学論考』に代表される初期思想と訣別し、言語をゲームとしてとらえるという後期思想の中心テーマが豊饒な実りをむすんだ時期でもあった。「青色本・茶色本」は33年から35年にかけて彼の講義を学生たちに筆録させたものであり、転換期における思索の息づかいをそのままにつたえる貴重な文献である。ほかに、この時期の講義用ノート、フレーザー著『金枝篇』に対する周到な書評、『マインド』誌への手紙を収録。