内容説明
武井昭夫学生運動論集。
目次
1 全学連の出発―その闘争目標はなんだったか(一九九八年~二〇〇四年)(新しき未来の僚友たちへ―全学連結成五〇周年を迎えて;闘いのなかから生まれた全学連結成とその後の展開 ほか)
2 「層としての学生運動」―その大衆性と戦闘性(一九四八年~一九五一年)(転換期に立つ学生運動―その新しき発展のために;新制大学の意味するもの―九州学連に送る手紙 ほか)
3 運動再建のための提言(六全協後―一九五六年)(この沈滞はなぜか 科学的方針の欠如を克服せよ―東大教養学部学生自治会常任委員会の活動一般方針書をめぐって;『日本の学生運動』(東大学生運動研究会編著)への批判的註釈―自己の運動への真摯な批判・総括からの出発を望む)
4 日本学生運動史年表(敗戦から六〇年安保まで)
著者等紹介
武井昭夫[タケイテルオ]
1927年横浜市に生まれる
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感想・レビュー
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takao
2
ふむ2023/12/19
ミスター
1
この作品を読むまであのトリッキーな花田清輝から左翼馬鹿一代のごとき武井昭夫が生まれてくる必然がわからなかった。武井の思想の発端は「敗戦」にあって、その点では悔恨共同体を基調とする平和勢力と変わらないのだが、「革命中心のものの見方」をするゆえに戦後民主主義が持っていたナショナリズムを全共闘に先立って批判していたのである。だから武井の敗戦から「戦争の中止」を意味するのではなく「戦争の中断」を意味しており、運動族として戦争していたと言える。その点で武井自身は嫌っているものの、極めて武井は全共闘であったといえる。2018/12/12
トックン
0
花田イズムの継承者の運動論。1948年に開始された「全学連」は日米双方に対して牙を剥く。全学連の特徴は、アメリカによる占領統治下に行われたということ。レッドパージのCIEイールズ声明に対する闘争は米批判の例であり、ポツダム体制に対しては日の上からの民主主義に対する不満を表す。ここで武井は「層」という概念を提唱するだ。学生が層として運動し、大衆へと働きかけることで民主主義擁護の意識が草の根的に拡がりひいては国際学連と結びつき国際的運動へと発展する。しかし50年以降、層は族Tribe(太陽族等)へ縮小された。2017/04/04
いすくら
0
学生運動史としての大きな流れとして「層としての学生運動」が提起されたということは知っていたが、それが一つの論文ではなく共産党に「指導」される立場としての一つ一つの運動(および論文)の中から次第に確立されて行った立場だとは知らなかった。またミヤケンが学生による運動に好意的だったのも初耳。2018/06/12