感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
がらくたどん
29
魔猫レストラン「山亭」のお話を読んで。主に西欧の伝承ニャンコ噺を丹念に集めて分類した猫の民俗学。古代エジプトの猫崇拝から始まり、古代の信仰対象としての神秘性故にキリスト教が席巻する中世に反動で「魔女」と結びついた伝説群、人が変じた情け深く寄り添う存在として描かれるお伽噺群等、可愛さと野生を併せ持ち屋内に出入りする動物ならではの伝説・昔話の数々がほぼ「お話」のまま紹介される。20年くらい前の出版なので印字が詰まっていてちょっと読みにくいが、紹介される話の多様さと挿絵の多彩さ参考文献の豊富さはさすが。2022/03/16
崩紫サロメ
14
主に欧米における猫の登場する民話を集めている。著者は伝承文学研究の大家で、類似する民話における猫のイメージをきちんと整理しており、面白い。個人的にはカラーイラスト入りで紹介され、全文を読むことが勧められている「白猫姫」の話が気になった。著者によれば構成の猫に対する嫌悪や恐怖は古代の猫崇拝の反動と捉えている。また、訳者による解説や挿絵コレクションも充実しており、日本における猫の話が補われている。2019/12/21
j1296118
2
崇拝・信仰、特徴(性質)、天敵、仲間と敵、吉凶、魔女と使い魔、変身、信じられた物語ではなくフィンクションとして認知された上の昔話、恐るべき怪物猫、童歌、英米近代文芸、その各章テーマに沿ったフォークロア群紹介(原注や文献目録による出展提示込)と解説。猫猫猫猫、ひたすらに猫な訳だが内実は神で悪魔で妖精で家族隣人善悪正邪賢者愚者、バリエーション豊富な楽しさ。 ブリッグズ女史は邦訳初版の三年前には亡くなっていたそうだが、愛猫ロロ君も猫又や妖精・怪猫にでもなってない限りとうに故猫か……2015/07/06