感想・レビュー
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Gotoran
19
錬金術を中世ヨーロッパの疑似科学としてではなく、変容の秘儀として捉えていたユング。本書は、第三部「錬金術における救済表象について」。キリスト教文明と意識・自我万能の西洋合理主義の影に古代から地下水脈として連綿と続き、現代の無意識の諸問題として表面化してきた影の心の歴史が、錬金術者達が表した様々な記述や象徴として数多くの図版とともに、論考されてゆく。難解ではあったが、非常に興味深い内容であった。訳者が示す図式;「グノーシス主義ないし新プラトン主義思想」-「錬金術」-『ファウスト』- 以下コメへ追記2013/12/26