出版社内容情報
あらすじは秘密、ヒントを少し。 双子/誕生日/瞬間移動 1年ぶりの新作は、ちょっと不思議で、なんだか切ない。
内容説明
常盤優我は仙台市のファミレスで一人の男に語り出す。双子の弟・風我のこと、決して幸せでなかった子供時代のこと、そして、彼ら兄弟だけの特別な「アレ」のこと。僕たちは双子で、僕たちは不運で、だけど僕たちは、手強い。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
1367
タイトルは脚韻を踏み、リズムもいたって軽快。文中には頭韻も登場するし、随所にダジャレ(いえいえ、掛詞)も散見される。さすれば、本書は和歌的な技法が投入されているのか?もし、仮にそうだとしても幽玄歌からはほど遠く、さしずめ軽妙な俳諧歌といった趣き。伊坂幸太郎に特有の荒唐無稽さも影を潜め気味。それは言葉を変えれば、やや中途半端に終わってしまったということでもある。読み物として面白くはあるが、深みに欠けるのは避けられない。構成等の欠点にも目を瞑って、今回は伊坂のスキップ文体を楽しむことにしよう。2021/12/09
ウッディ
1117
父親から虐待され、母親からも見捨てられた双子の優我と風我。逆境にめげず、助け合いながら生きてきた彼らには、誕生日だけに起こる不思議な現象があった。苛酷な家庭環境でまっとうに生きる二人の境遇が切ないが、二人だからこそ耐えられたのだと思う。入れ替わりについては、どんなことができるのかと実験し、検証する過程は面白かったが、ストーリーの中であまり有効に活用されてなかったような気がする。後半の伏線の回収は、今回、伊坂さんらしい切れ味がもう一つという印象で、期待が大きかっただけにイマイチという感じでした。2019/04/11
うっちー
1061
犯人が酷すぎる2018/11/25
hit4papa
1053
著者ならではのトリッキーな作品です。ハテナ?となるタイトルに惹かれ、単行本を買うほどには伊坂作品の熱心な読者ではありませんが、思わず手に取ってしまいました。本作品は、誕生日に二時間毎にお互いの体が入れ替わる双子、風我と優我の物語です。ここだけをとると、誰もが、子供の頃に夢想するようなシチュエーションです。これは、面白い話しを作れるのだろうか、とやや不安な出だし。そこは流石、伊坂幸太郎。きっちりと読ませてくれます。途中まで、著者らしい展開ではないなと思いましたが、ラストは、伊坂幸太郎節が鳴り響きます。2020/04/14
蒼
1034
今まで伊坂幸太郎さんの描く「悪」はその度合いが酷いながらも、どこか現実味を感じさせない不思議な文体だったのだが、今回は違った。読み進めてもどこに救いがあるのだろうと暗澹とした思いしかなく、こんな鬼親こんな非道の事件あるよとしか思えないのだが、先が気になってページをめくる手が止まらず、翌日(つまりは今日)早朝出勤にもかかわらず、睡眠時間を削って一気読み。終ってみればすっかり伊坂ワールドに取り込まれていた。「鴨とアヒルのコインロッカー」を彷彿とさせて読後感は重いが爽やかな達成感があった。2018/11/18