出版社内容情報
元祖食堂のおばちゃん作家が「母」をモデルに描く、初の自伝的小説。ハサミ工場に嫁いだ昭和の女一代記。泣き、笑い、心温まる!
内容説明
激動の昭和30年代を生き抜いた、波乱万丈の人生!恋に破れた朝子は、新宿でウェイトレスをやりながら声優を目指すも、突然退職―下町の鋏工場へ嫁いだ。舅との確執、夫の不倫、愛人との闘い、工員の心中騒動、降りかかる難題を乗り越えて、たくましく生きていく。銭湯、洗濯板、初めてのテレビ、東京オリンピック…失われた時間が愛おしくなる、著者初の自伝的小説。
著者等紹介
山口恵以子[ヤマグチエイコ]
1958年、東京都江戸川区生まれ。早稲田大学文学部卒。松竹シナリオ研究所で学び、2時間ドラマのプロットを多数作成。その後、丸の内新聞事業協同組合の社員食堂に勤務し、ヘルシーでおいしいメニューを考案・調理しながら、小説の執筆に取り組む。2007年『邪剣始末』で作家デビュー。2013年、『月下上海』で第20回松本清張賞を受賞。現在は作家専業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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みかん🍊
97
昭和27年、老舗旅館の娘朝子は失恋し声優になろうと家出し東京へ夢を追うはずが何故か突然下町の工場へ嫁入りしてしまう、著者の母親がモデルという昭和を生き抜いた大らかでたくましい女性の一生、ALWAYS 三丁目の夕日や朝ドラのような人情溢れる昭和のお母さん、ただ尽くすとか自分を犠牲にするのでは明日に向かって強く生きる朝子が気持ち良かった、映像化してほしい。2020/06/03
taiko
89
著者のお母様、昭和を生き抜いた朝子さんのお話。朝ドラを見てるようでした(笑)朝子さんは、朝ドラのヒロインのように、生き生きと魅力的。ドラマチックなことがある訳では無いのに、先が気になり、サクサク読了。面白かったです。私の母は、少しあとの時代の人だけど、今度会ったら、昔のこと聞いてみたいなと思いました。2016/09/30
ぶんこ
82
著者のお母さんがモデルとなった物語。 声優を目指して、千葉県館山の実家旅館を飛び出す短絡さにオヨヨとなった導入部。 物事を深く考えずに行動に移してしまう朝子さんにハラハラしましたが、この性格のおかげで、嫁ぎ先の理容鋏の工場経営が悪化してからも、切り抜けられたのでしょう。 母親が明るくたくましく大らかなのが、子供や家族の宝。天晴れな一生と褒めたい気持ちで書かれたのでしょう。読んでる私も、朝子さんに天晴れと言いたいのでお会いしたくなりました。2016/04/14
ゆみねこ
80
作者ご本人のお母さまをモデルに描かれた1冊。戦後の東京下町で、町工場のおかみさんとしてたくましく生きた、明るくバイタリティに溢れ魅力的な朝子さん。叔母の緋紗子さんもとてもいい人で印象に残りました。作者自身と思われる世以子さんが面白くて、山口さん、ますます好きになりました。面白かったです!2016/10/12
milk tea
79
思いやりのある朝子さんが生き生きと描かれてました。鋏にも時代の流れがあることを初めて知りました。まさかビートルズの影響によって長髪が流行り始めたなんて。時代背景も合わせて楽しめました。弥次郎さんの「早くおめえの作った味噌汁が飲みたい」が聞こえてきそうです。2018/07/22