著者等紹介
後藤竜二[ゴトウリュウジ]
1943年北海道美唄市に生まれる。早稲田大学文学部卒業「白赤だすき小○の旗風」で日本児童文学者協会賞、「野心あらためず」で野間児童文芸賞(講談社)。「季節風」同人。日本児童文学者協会会員
高田三郎[タカダサブロウ]
1941年北海道美唄市に生まれる。神奈川大学卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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chiaki
44
1945年、終戦の秋。戦争から戻ったばかりの父は毎日りんご畑の世話をし、家族や村の人々と一緒に収穫が出来る日を待ち望む。しかし、収穫を間近に控え、炭鉱地帯でひもじく過酷な労働を強いられている中国や朝鮮の人々によって畑は荒らされてしまう。父の願いを聞き入れてくれた中国服の男は、一体どんな思いで「いい土だな」と言ったのだろう…。きっと故郷や家族を想っていたに違いない。父の声にならなかった想い…、毎年のように思い出すのは後悔と平和への願いなのだろう。日本の強制連行・強制労働の歴史を忘れてはならない。2021/03/30
みさどん
21
強制労働を扱った戦争絵本。こんな絵本があることを知らなくて、貴重な読書だった。戦時下では、敵は人であって人でない。炭鉱で苦しみ働かされる中国の人々が描かれ、逃げてきた彼らがリンゴ園の紅玉をむさぼり食うのだ。現代では敵国の人だからと人以下の扱いをできるはずがないとわかるのだけれど、命が関わる過去の戦時下ではギリギリの心理状態での出来事ってたくさんあったのだろう。考えさせられる。子どもたちにぜひ読み伝えたい。2018/02/04
なななお
20
図書室には古めかしく見えても、本当にいいお話が沢山入れられてます。低学年向けの絵本の中に混在していた、この「紅玉」と言う絵本もそんな一冊です。戦争が終わり生還した父が育てていた林檎🍎は、秋に実り始め収穫を待つばかりになっていた。その林檎畑が襲われた。川向うの炭鉱で強制連行され働かされている朝鮮、中国の人達だった。皆ぼろ布の様に汚れやつれた人達が手に手に林檎を持っていた。悲惨な状況で働かされている事を知っていた父は…。北海道美唄市出身の後藤竜二氏が実父から聞かされていた話を高田三郎氏の絵で絵本化したもの。2021/12/15
たらちゃん
20
煽るように書かないで、淡々と語る方が辛さがしみてくるのは、どうしてなんでしょう。子どもの小学校の図書室にあった本ですが、私が小学生の時に読んでもわからなかったかもしれません。2016/08/28
みつばちい
19
戦後の北海道で起きた実話。大切に育てた紅玉が収穫の直前に炭鉱で働かされていた中国人たちにもぎ取られめちゃくちゃにされようとしていた、、 彼らは劣悪な環境で働かされていたことをよく知っているりんご畑の主である著者の父のとった行動は、、 戦後の日本に、このような状況があったことをあまり知らなかった。辛い話の中に、人と人との心の通いあいも描かれている。絵がとても美しい。2018/01/15