内容説明
戦後間もないGHQ占領下の日本で、ある事件が起きた。昭和24年7月5日、初代国鉄総裁が失踪。翌6日未明、線路上で礫死体となって発見された。いわゆる「下山事件」である。戦後七十年、昭和史最大の謎の“真実”が明かされる。
著者等紹介
柴田哲孝[シバタテツタカ]
1957年東京都生まれ。日本大学芸術学部中退。1986~88年にはパリ~ダカールラリーに参戦。2006年『下山事件最後の証言』(祥伝社文庫)で第59回日本推理作家協会賞(評論その他の部門)と第24回日本冒険小説協会大賞(実録賞)をダブル受賞。2007年『TENGU』(祥伝社文庫)で第9回大藪春彦賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 5件/全5件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょろこ
112
闇の奥へ…の一冊。かの有名な迷宮入り事件。真実という闇の奥へいざなう面白さに夢中になった。まるで捜査本部解散後、一人の刑事が熱き思いで独自に捜査したどり着いたあの日を目にした気分。GHQ占領下、戦後復興を遂げようとしている陰で、複雑に絡み合う国、組織、謀略、緻密な計画、マグロに戦慄を覚えずにはいられない。自殺か他殺か、この時代の科学捜査、法医学を駆使するシーンも読みどころの一つ。他殺であると確信した思いが塵となる虚しさ。真実は藪の中か…水面下の巨大なチカラ、現在にも通じる圧力…様々な思いが頭を巡る。2019/05/23
それいゆ
89
『下山事件 最後の証言』では表現しきれなかった詳細が、フィクションだからこそより分かりやすく、臨場感あふれる展開となって蘇っています。ノンフィクションを読んでいる錯覚に陥ってしまいます。帝銀事件や三億円強奪事件、グリコ誘拐事件なども、この要領で小説にしてほしいと思います。傑作が完成しそうです。2015/10/07
chantal(シャンタール)
63
戦後間もない1949年に発生した下山国鉄初代総裁が礫死体で発見された「下山事件」。現在もその真相は謎に包まれている。子供の頃、関連の映画を観た記憶があり、こういう「迷宮モノ」が大好きなので手に取った。とても面白かった!下山事件に関するノンフィクションもこの作家は書いており、そこでは描き切れない物をこの「フィクション」として描き上げたとか。戦後の混沌とした時代感がとても良く分かったし、本当にそういう事が起こっていたとしても何ら不思議はない。でもそれが事実だとしたら、とても恐ろしい。これは前作も読むべし。2018/02/21
いつでも母さん
63
正直疲れた。『下山事件』と云うのは知ってはいたが内容は全く知らなかったので、重かった。こうして闇に葬られてきた事件が山ほど有って今の日本があるのかと思うと薄ら寒い。戦後のGHQ占領下の元、時代背景や関係各位の思惑が絡み合って・・か。ノンフィクションの方は未読なので『小説』として読み応えはあった。しかし、下山さんは何故総裁をひきうけちゃったのかなぁ。そして、柴田作家の祖父はこの中の誰だったの?暑い中、厚い本で作家の熱い思いだが、読後の不快感は暫く拭えない。2015/07/29
ゆみねこ
59
GHQ統治下の日本の闇。謎めいた「下山事件」を小説として書かれたもの。前作「下山事件 最後の証言」から10年経ち、詳細な事実も判明したと。あの時代に起こった未解決の事件には表に出せない事実がまだまだ隠されて居るのでしょうね・・・。2016/01/12