内容説明
蛇魔像に秘められた不老不死の秘密霊水を巡りザラ国を三分（ウリウス、ディアウス、ザリウス）する戦いは、最終段階を迎えていた。裏切りの露見と双頭王グルカ暗殺に失敗したディアウスの将軍エナクは、閉ざされた不老宮ザラ王の間を目差し、地下迷宮へ逃げ込んだ。ここに、戦いの目標は、千年を生きるというザラ王奪取に移ったのだ。エナクを追う、休戦を結んだウリウス率いるアゴンとディアウスのグルカたち。さらには、夢龍の一団とシッダールタ（後の仏陀）そして漁夫の利を狙うザリウスのマハムト…。彼らは無事、ザラ王の間にたどり着けるのか。シッダールタは真理を見つけられるのか。伝奇小説の雄が一五年の歳月をかけた大作ついに感動の完結。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さや
4
終わった・・・。読み始めると止まらない話だった。エナクの気持ちがムサルトに少しだけでも伝わったのが良かった。本当にムサルトを愛してたんだなぁ。ちゃんとは報われなかったところは寂しいけど、本人が「これでよかった」って終われてよかったと思う。ランカーを思うアゴンも良かった。理想の国を作りたいってこういう人と人とのつながりで生まれるのかなぁって思った。色即是空がとてもわかりやすかった。長寿はいいけど不死はいらないなぁ。そして不死の秘密がヨガとは・・・。全然興味なかったけどヨガやってみようかな。2012/05/20
conan
2
おもしろい。悟りを開く過程が内容がわかったような気がする。話もスリルと生き様を感じられた。2021/09/22
のりのりのり
2
知名度なく賞もとらずとも、こんなにもとんでもなく面白い作品があるんだ。というより遥かに面白い！それにしても陳夢龍の造形の素晴らしいこと。彼を思うと今でも胸がキュンキュンと苦しくなってしまう。ただ読む人を選ぶかも？おどろおどろしさ、暴力、エロス、自分はもともと夢枕獏の小説が好きな人間だから存分に楽しめ心震わされ大満足。近年の女子子供に媚びを売ったかのような毒の抜けた夢枕獏しか読まない人には描写がきついかも。『キマイラ』『魔獸狩り』からのファンなら必読。こういった幸せな読書体験したいがために、僕の読書は続く。2015/12/11
はかり
2
最後は夢枕が描くとこうなるだろう。シッダールタからブッダへの覚醒は宇宙をすべて理解することか。奈良への往復で読了できたのも良かった。2014/12/27
tama
2
図書館から全巻まとめ借りの最後 土曜日の夜に読みきったため日曜日に慌てて次の本を借りに行った（月曜休館日なんで）。すいすい読めた。シッダルタが清明風になってゆくのが面白い。芦屋道満的要素を持ったキャラはいなかった。全体通してエグイのが多いし。陰陽師って語り口も清明道満の二人のキャラもとてもいい塩梅になってるってことだね。大覚のシーンは半村さんの「妖星伝」の昇天のそれみたいだなぁ。作者が15年かけて書き上げたものを10日で読んでしまうというのは申し訳なし！2013/12/02
