出版社内容情報
〈「ひどいめに,たくさんあってきたか?」幻聴が起きたのかと思った。マリーは腹這いの山崎(やまざき)を凝視した。山崎の背には刺青がない。指も欠けていない。肌は血の気を喪ったように白い。マリーはそっと耳を澄ました。「ひどいめに,たくさんあってきたか?」幻聴ではなかった。マリーは山崎から視線をそらした。首を左右に振った。「……べつに」呟いて微笑した。軽い口調で付け加えた。「どォってこと,ないよ」微笑が歪んだ。その瞳に涙が湧きあがった。きつく眼を閉じた。喉がふるえた。山崎の背に爪をたてた。〉(本文より)冷酷無比の極道(やくざ)山崎が子持ちのフィリピン女性マリーを妻にした時,恐るべき運命がその幕を開けた……。今もっとも期待される異才が放つ愛と暴力の衝撃作! (祥伝社販売課大内オススメの一冊)唯のバイオレンスではない、人生のペーソスを感じさせる秀作。
内容説明
冷酷無比の極道山崎が子持ちのフィリピン女性マリーを妻にした時、恐るべき運命がその幕を開けた…。今もっとも期待される異才が放つ愛と暴力の衝撃作。
目次
笑う山崎
山崎の憂鬱
山崎の帰郷
炙られる山崎
走る山崎
山崎の情け
山崎の依存
嘯く山崎
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
テキィ
2
前読んだやつの方が良かった。2013/06/16
キミタン
1
作者本人が最初は50枚の短篇で書いたものに追加して書くことになってしまった。とあるように、うまくまとまっているが大きな構想のもとに書かれていない分最後の方の「愛」は付け足しのようになってしまったなぁ。2013/02/20
Hamuu
1
さらっと読めた。哲学的な花村さんが影を潜めて話もわかりやすかった。でも、山崎の想像がつきにくい。息子や女の方はリアルな感じだったのに。これがハードボイルドってやつか!2011/03/19
さくらぱぱ
1
★★★昔に読んだ。暴力的な話なのだが、救いようがない話なのだが、嫌いにはならなかった。まあ、何度も読みたいという本でもないが。
うぇす
1
暴力、カリスマ、家族 ○やくざもの読んでても、こういうカリスマの描写ができているものはほとんどない。素晴らしい。