内容説明
立花文彦が運転する現金輸送車が襲われ、一億五千万円を奪われた。急に病欠した同僚に代わった日の災難だった。犯人に名を呼ばれたため共犯と疑われ、立花は失踪する。犯行前日、妻の伊津子は事件を示唆するような電話を受けていた。新婚の妻は夫の無実を信じ、自ら真犯人を追う。ところが夫の知られざる過去が次々と明らかに。行方のわからない現金を巡りさらなる惨劇が!
著者等紹介
小杉健治[コスギケンジ]
1947年、東京生まれ。83年「原島弁護士の処置」で、オール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。87年『絆』で日本推理作家協会賞を、90年『土俵を走る殺意』で吉川英治文学新人賞を受賞する。以降、社会派推理、時代小説の旗手として活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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えみ
56
愛する人の秘密を探る。なんて罪悪感、なんて背徳感。じりじりと追い詰められるのは秘密を暴かれる者か、それとも暴く者か。このサスペンスが放つ緊張感は何度読んでも癖になる。男女間の複雑な心の縺れが現金輸送車襲撃事件、そして殺人事件と混迷極めるなかで同じように解けない謎として物語に組み込まれて面白い。襲撃も殺人も恋愛も、肩を並べるほど同じ罪深さをもっているのか。と妙に納得できる一冊だった。まさか夫が犯人?新婚の妻・伊津子は夫の無実を信じ事件の真相を追う。そこで知る、夫の過去。知るまで不満だが、知れば不安しかない。2021/06/22
ミーコ
31
「父からの手紙」や「家族」が凄く良かったので期待して読んだのですが30年以上前の作品と言う事もあって、古臭く感じてしまいました。現金輸送車を襲撃したのは夫だったのか… 真相が知りたくて読み進めました。ストーリーはまずまず面白かったのですが 少し物足りなさも感じてしまいました。2022/01/05
うぇい
6
まずまず面白かったです。昭和末に書かれたみたいで、スマホもインターネットもまだない社会の様子がどこか懐かしかったです。2023/09/15
ハートランド
4
面白かった。 解説でさまざまな男女との出会いを通して、夫という存在との関わり方をふたりの女性が見つめ直すのが、この容疑者圏外というものがたりなのである。ミステリとしてのおもしろさはもちろんだか、本書に登場する何組もの男女のあり方に注目して読むと、物語りは何倍にも深まるはずだ。2021/09/05
すぅ
3
女性に対する描写がなんだか違和感あるなー、と思いながら読んだら、1988年に書かれた作品だった。時代は変わったと、改めて感じた。2024/02/26