出版社内容情報
[祥伝社販売部伊東オススメの一冊]どこにでもあるデパートの屋上。ここではいつも不思議なことが起こる。この屋上に何があっても動じない、うどん店の主「さくら婆ァ」がいる。屋上名探偵「さくら婆ァ」の奮闘ミステリー。屋上にある様々な物達。例えば、ベンチだったり乗り物だったり。この物達から見た視点で話が成り立っていくのが、不思議な感じでした。
内容説明
そのデパートの屋上では、いつも不思議な事件が起こる。飛降り自殺、殺人、失踪。ここに、何があっても動じない傑物がいた。人呼んでさくら婆ァ、うどん店の主である。今日もPHSの忘れ物が一つ。奇妙なことにそれが毎日、同時刻に呼出音だけ鳴るのだ。彼女の手が空いた時間帯に、まるで何かを伝えたいかのように…。屋上の名探偵さくら婆アの奮闘ミステリー。
著者等紹介
北森鴻[キタモリコウ]
1961年、山口県生まれ。駒沢大学卒業。95年『狂乱廿四孝』で第六回鮎川哲也賞を受賞し、作家デビュー。以後、民俗学、骨董の世界、脳医学など、様々なジャンルに材を採ったミステリーを発表する。99年、「花の下にて春死なむ」で第52回日本推理作家協会賞を受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
102
デパートの屋上にあるもの(お稲荷様、観覧車、ピンボールマシンなど)が第三者の語り手となり、そこでうどん店を営むさくら婆ァが主人公となり様々な事件が起きる連作短編集となっています。さらにやくざ者と高校生がからみます。内容的には殺人事件などがあったりでかなりハード的な内容です。主人公たちにも何かいわくがありそうですがそこが明らかにされません。何度目かの再読ですが、若干不満が残りました。2024/04/11
大阪魂
63
舞台はデパートの屋上。語り手は屋上にあるお地蔵さんとかお稲荷さんの狐とかベンチとか。ミステリーを解決する主人公は屋上のうどん屋の名物店主「さくら婆」…ってむっちゃ変わった設定の連作短編集!でもしっかりミステリーしてた!デパート店長の自殺の裏には…とか、バグパイプ吹いてた男の失踪の真実は…とか、人間の悪意が絡んで嫌な終わり方する話も多かったし、さくら婆が最後どっかいってしもたんも寂しかったけど、それはそれで北森さんらしかったかな…でもまた一つ、北森さんの本読み終わってしもた…残りもうちょっとって寂しいわあ…2019/11/23
すたこ
43
★★★デパートの屋上を舞台に事件を解決してゆく連続短編集。構成はお見事で、話の流れは面白いけれど、いくらなんでもさくらさんの勘が良すぎて…。事件一つ一つも簡単に解決するけど、重苦しくて切なくて後味が悪い。モノたちの語りはとても良かった。そして、うどんが美味しそう(笑)2015/12/10
カナン
41
「読後感最高!!のハートフルストーリー」と帯に書かれていた、が、「どこがだ!」と突っ込みたくなる、苦い後味が拭い切れない寂しい連作だった。北森作品で胸にふっと透明過ぎる風が吹き抜けたかのような哀しみが残らない作品なんて逆に読んだことがないんだよ!(褒めてます) 今はほとんど見ることもなくなったデパートの屋上を舞台に繋がっていく人と人の細い縁。それは尊くて、残酷で、虚しくて、どうしようもなく人間臭い。彼らを見守る語り手達が全て屋上の人外であることが、一層人間が人間として生きていくことの厄介さを物語っている。2023/03/07
金吾
39
ピリピリしていない雰囲気ながら、パンチの効いた話もある話でした。さくら婆ァ、杜田、タクのトリオがなかなか良かったです。2024/01/11