内容説明
矢的遙は、からくり人形の蒐集家として著名な加島が、「べんきちはゆるさないぞ」と書かれた脅迫文を見て怯える姿に愕然とした。べんきちとは、江戸末期のからくり師大野弁吉のことで、当時、彼の科学技術力は世界の水準を超えていた。が、百二十年も前に死んだ人物をなぜ恐れる?矢的は、東西の〈からくり〉を探るうち、意外な歴史の真相へ踏み込んでいった…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
TheWho
11
歴史小説やSF伝奇、ミステリー、ホラー等幅広い作風の著者が描く、殺人事件に20数年前に起きた事故と隠された歴史の真相が絡む横溝正史的なミステリー。からくり展のポスターの依頼者とデザイナーの男女を主人公に、情報収集の為に出逢った人々に起こった不可思議な出来事に飲み友達を巻き込んで勝手に介入する迷惑な面々の物語。何故この様な展開になるのだろうと面食らいながら歴史ミステリーの展開に面白く読めた一冊でした。でも、やはり著者作品の舞台は東北に落ち着くのかね(笑)2017/03/17
あいちょ。
3
図書館。 2024/01/10
緋色
1
最初のときはキャラが立っていた探偵さんが、どんどん空気に…
紫
0
高橋克彦先生描くところの館モノ(?)ミステリであります。本作の探偵役はことわざマニアの素人探偵矢的遙と彼の仲間たち。この人たち、たまたま取材で知り合ったというだけで関係者ですらなく、犯罪らしい犯罪も起こっていないうちから、異常な熱意と執念に突き動かされるように首を突っ込んでいきます。何だか名探偵というより、いたずらに事件を引っ掻きまわして事態を混乱させている印象が強く、こんな人たちの興味本位の探偵活動で過去の犯罪を暴き立てられた犯人が気の毒でした。全体に地方ロケの2時間サスペンス風味。星3つ。2016/03/22
kagetrasama-aoi(葵・橘)
0
高橋氏には珍しい、女性(池上佐和子)を中核にする小説。探偵役は矢的遙と言うハーフの男性なんですが。読み進めると佐和子が中心になってる印象でした。からくりの薀蓄は面白かったです。大野弁吉とかからくり儀右衛門とか、もっと知識深めたくなりました。からくり儀右衛門は子供の頃観たドラマの印象が強くて!好きなんですよね。ミステリーとしてはまあまあかなぁ……。動機があまり共感出来ないし、トリックも高橋氏にしては平凡!さらっと読めました。2015/01/31