内容説明
アメリカの後追いでは日本の創造力は育たない。日米両国で活躍した元NASA研究者による比較文化論。
目次
第1章 自然が醸しだす知的風土
第2章 実力と機会均等との間
第3章 言葉と発想との関わり
第4章 サイエンスと禅問答
第5章 ひとつの「専門」に安住するなかれ
第6章 創造と個人の資質との間
著者等紹介
桜井邦朋[サクライクニトモ]
昭和8年生まれ。神奈川大学名誉教授。理学博士。京都大学理学部卒。京大助教授を経て、昭和43年、NASAに招かれ主任研究員となる。昭和50年、メリーランド大学教授。帰国後、神奈川大学工学部教授、工学部長、学長を歴任。ユトレヒト大学、インド・ターター基礎科学研究所、中国科学院、スタンフォード大学などの客員教授も務める。現在、早稲田大学理工学術院総合研究所客員顧問研究員として、研究と教育にあたる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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茶幸才斎
3
言語の構造と思考様式との関連に着目し、自身の米国での経験を踏まえ、文法が柔軟な言語を使う日本人は理詰めでなく感覚的に物事を理解し、文法が厳格な言語を用いる欧米人のように議論を積み上げて合意形成していく論理的思考が苦手だ、と云っている本。特に学術研究における論理的思考の重要性を強調するが、察し慮って心に留める包容力を日本人の美徳とするなら、それを否定し捨て去るのでなく、西洋的論理思考を一つの技術と割り切り、必要な人には学ぶ環境があり使えるようになるもの、と整理するのが、我々の精神衛生上最善の方策ではないか。2017/10/18
takahiroyama3
1
読みやすい1冊。自然科学の研究者である著者が、日本とアメリカでの研究生活を通じ、80才にして書いた本。1章では日本の豊かな自然とそれを尊ぶ風土を、2章では日本の年功序列とアメリカの実力主義を、3章では風土に裏付けられた日本語の柔軟さ、4章以降は提言であり、以心伝心を前提としない思考、今の専門を持つといった事柄が描かれています。様々な書籍に類似したメッセージはありますが、それを筆者の視点から幅広く包含して語っているように感じられました。さて、日本型の研究法はいかに確立されるのでしょう。2019/06/22
Yuki-bare
0
楽に読めて面白い。しかし、4章以降にはいささか首を傾げる部分もあるかな。2012/12/22