内容説明
私たちが日頃なんとなく「おいしい」を伝えたつもりで使っている表現は、およそ不完全なものばかりだという。それは、深く意味を考えずに常套句を使っていたり、先入観にとらわれて、本当はどうなのかを正しく言い表わせていなかったりするためだ。そこで、正しい感覚を取り戻し、言葉の数を増やし、表現力を豊かにするためのプロセスについて解説したのが本書である。
目次
第1章 その言葉は、本当に「おいしい」を表現できていますか?(実際には味わいを伝えていない常套的表現;先入観でおいしいと思い込んでいる表現;日本的なマイナス思考による表現)
第2章 味わいを言葉にして表現する(ソムリエは、なぜワインの味わいを記憶するのか;香りや味の記憶は、機械化・デジタル化できない;感覚を言語として記憶する ほか)
第3章 五感を鍛え、表現力を豊かにする方法(なぜ五感を鍛えるのか;嗅覚の能力を意識する授業;俳句に親しむようになって感じたこと ほか)
著者等紹介
田崎真也[タサキシンヤ]
1958年、東京生まれ。ソムリエ。国際ソムリエ協会副会長。1995年、第8回世界最優秀ソムリエコンクール優勝。以降、日本に本格的なワイン文化を普及させた功績において、2008年、「現代の名工」(卓越した技能者)受章。現在は、ワインを含む酒類と食の全般に場を広げて活動している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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リキヨシオ
22
グルメ番組のコメント「肉汁がじゅわっと広がる」「プリプリした」「くせがなくて」など常套的表現はその料理の味わいを伝えた事にはならない。一年間で一万種類以上のワインを試飲する有名ソムリエが語る「おいしさ」を言葉で表現して相手に伝える技術は、視覚、嗅覚、味覚、触覚、聴覚の五感をフル稼働させて感じ取った事を言語化する事から始まる。相手に伝わる表現力は五感を常に鍛える事と感じた五感の言語化を日常的にする事を繰り返すとどんどん表現力が豊かになる。そんな五感の中で人間が一番鍛えられるのは嗅覚…自分も心がけようと思う。2018/01/23
ひろ☆
12
五感を使って、多角的に言葉で表現。2015/06/27
kubottar
7
おいしさを言葉にして人に伝えるのは難しい。現在は安全な食品が流通してるため(例外もありますが・・)食べ物が腐っているかどうか嗅覚を全く使う必要性がないので恐ろしく嗅覚が退化している。まずは嗅覚を鍛えること、そしてありのままを五感をフルに活用して感じ取る訓練をすること。2011/11/16
hoiminsakura
6
美味しいと言っているつもりでもそれが味でなく色味や油味、舌触り、雰囲気などしか表現していなかったり材料や作り方に対する先入観だったりすると冒頭に書かれていて、さもありなんと思った。著者がソムリエとして味わいを表現するために、感覚を言語として記憶し、香りを言語化する努力、訓練をした具体例が示され、嗅覚の大切さを説いている。自分もワインをいただくときだけでなく料理を口にする時にも五感を働かせれば食生活がもっと豊かになると思った。2023/04/17
史
5
トリビアで酷い目にあった人の本。少しフランス推しが強いものの、しかしそれなりにためになる、2010年に読んでいれば。嗅覚の強さと、世の中は視覚が重宝されているというのは、書かれた当時では中々新鮮だったのではないだろうか。まあ日々五感を意識しようというまとめも結構好きですね。はい。2022/11/21