目次
彫刻系
ファサード系
浮遊系
リボン系
突出系
冠系
カムフラージュ系
ペイント系
集合系
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キク
60
施工と設計は仲が悪い。でも、膨大な関連法令や条例を全て守り、容積率ギリギリの建物を作り込む設計のスキルには、尊敬の念を抱かざるをえない。記念碑的建築物以外の、都心の中小ビルは美的観点からではなく「いかに合法的に建築面積を最大化して、建築コストを下げられるか」という点で外観が決定されていく。各種高さ制限を精一杯かわした「スフィンクスビル」、出窓は床面積に算入されないことを逆手に取った「出窓壁」、天窓の開口率3倍有効をフルに利用した「天窓天国」。紹介されている超合法建築物に新しい美が宿っている、、かなぁ。2023/04/17
コットン
59
建築家吉村さんによる合法にするための建物紹介本。合法化した建物にキャッチーな名前をつけるユニークさが楽しい。ex:setback valley(斜線渓谷)、rock mountain building(岩山ビル)、scarf apartment(マフラー・アパート)、toplight paradise(天窓天国)など。実際に見てみたいと思ったのは:バルコニーの避難ハッチを下のハッチと重ならない位置にもうけなければならず丸いバルコニーに開いた丸いハッチが目玉の集団のような複眼バルコニーや、まっぷたつビルなど2020/01/11
kei-zu
23
不動産についての研修で「法律の規制が目に見える事例」として、ビル街の北側斜線制限の説明を興味深く聞いた。 本書は、そのような「目に見える規制」を写真の事例で説明する。規制の中で最大限の効果を発揮しようとする「工夫」が興味深い。 別棟から容積率を吸収する「パラサイトビル」、2階建ての下に半地下が覗く「2+1階建て」など、紹介のフレーズも秀逸。2022/11/03
こほ
13
建築家が法規の制限とクライアントの要望とやりたいデザインの三すくみの中でいかに必死こいて工夫してきたか実例集。面白かった!カムフラージュ系が特に楽しかった。下町の路地裏はまとめて団地扱いにしてるのかとか二段ベッドの並んでる簡易宿泊所が2階建てなのに4階建てに見えるのは秘密基地めいてるとか集合住宅で目隠しのために外壁一体型看板つけてるとか。でも点字ブロックカムフラはあかん。一低住にマンションそうやって建ててたんか!も感心した。設計やってる人は「これ法規が重なってるときの解釈の参考にめっちゃいい!」とのこと。2023/08/12
koushi
7
田舎住みなのでこういう歪な形の建築物を見る機会はほぼない。やっぱりこういうのは都会のものだなと。延べ床とか使い勝手とかの建築主の要望を満たしつつ、法規から外れない設計をする建築士の努力が伝わってくる。凄いのはそれが意外と違和感なく街並みに佇んでいるところ。そこに建築の面白みがあるように感じた。2022/02/09