春陽文庫<br> 猟奇の果

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春陽文庫
猟奇の果

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  • サイズ 文庫判/ページ数 222p/高さ 16X11cm
  • 商品コード 9784394301141
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

愛之助は猟奇の徒であった。愛之助の大学以来の友に品川四郎という通俗科学雑誌社を経営する男があった。招魂祭でにぎわう九段で、愛之助はその品川に瓜二つのスリに出会ったことが、それからの怪奇な事件の幕明きであった!銀座裏の陰気なカフェーでポン引き紳士にさそわれ、愛之助は「秘密の家」に案内された。そして、そこで見たものは?品川四郎そのままの幽霊男が出没するところ怪奇な事件はつづく!郊外の寂しい家で女の生首をもてあそぶ幽霊男!物語はいよいよ佳境へ…。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

優希

116
面白かったです。スリにあったことから始まる怪奇事件。案内された「秘密の家」に出没する幽霊男。猟奇的な空気をまとう男が堕とされていくのに引き込まれました。謎に満ちた前編に、明智小五郎の登場する後編。真実はいかなるものかと思わされたり、猟奇的な男の恐ろしい計画が暴かれていく畳み掛けるような展開は流石乱歩です。グロテスクながらも甘美さが伴う場面などもあるのがいいですね。前半は恐怖で、後半は探偵ものとして楽しめました。2016/09/22

鏡子

15
同じ顔の人間が対立して、どっちがどっちやら、読み乍らこんがらがる感じが楽しかった。鏡でなしに、自分と寸分違わぬ、同じ顔の人間が目の前に居ればどれだけ怖いだろう。そして、偽物はお前だ、なんて云われたら...。途中、生首が出てくる描写がグロテスク乍らも甘く美しい、さすが。生首に口づけなんて。「口のなかに溜まっていた血潮が、あわを吹いて、かれの手首を伝わって、泉のように毒々しくあふれ出してくるのがみえた」なぜかこういう文章を読むとうっとりとしてしまう。国家を巻き込んだ大掛かりな”生地の侭の覆面”犯罪2015/08/25

TKK

11
愛が高じるとどんなにダメダメでも、そこがいいの!と変な思考に陥ってしまう、その典型。前半タイトルに相応しい猟奇漂う怪しい物語が繰り広げられがっつり掴まれていたのに、後半のこの迷走ぶり。大風呂敷を回収できず「夢物語でいいのだ」と終焉を告げる。ひどいと言えばひどい。青木夫妻の顛末が不憫すぎる。ですが、人間乱歩先生のいかなる苦悩があったかと想像すると、この作品はこれでいいのだと思える。2015/04/15

あおさわ

8
この話前半と後半で乖離してるなあと思ったらやはりその通りでした;突然話が大きくなり明智小五郎が登場。国家転覆までに事件は大きくなります。そして、主人公であるはずの青木が…驚愕の結末。いいのかこの終わりで;という不憫さでした。解説を読むとテーマをが熟成しないまま月連載で書いていたようで、一年連載のところを半年で間がもたなくなり改題し、ホラーから冒険ミステリーへ。まあ悪くはないんですが;江戸川乱歩せんせの黒歴史、といったところでしょうか。2013/06/15

カニック

7
乱歩らしい怪奇ミステリー。本当にこんなことがあったら怖いです。謎めいていて面白かったです。2019/05/12

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