内容説明
野放しにすると暴走する、とっても厄介な人間の理性。アメリカ哲学界の重鎮がユーモアを交えて語る、哲学の「使用上の注意」。
目次
第1章 どうして論理法則に従わなければならないのか
第2章 ディレンマとパラドクス
第3章 純粋理性とその幻想
第4章 懐疑論
第5章 挑戦に対して穏健に答える
第6章 好みの問題
第7章 結語
著者等紹介
フォグリン,ロバート[フォグリン,ロバート][Fogelin,Robert]
1932年生まれ。ロチェスター大学卒業後、エール大学大学院で哲学を修め、1960年にPh.D.を取得。エール大学助教授などを経て、1980年から2001年までダートマス大学教授。現在は、ダートマス大学名誉教授。アメリカ芸術科学アカデミー会員
野矢茂樹[ノヤシゲキ]
1954年生まれ。東京大学大学院博士課程修了。東京大学大学院総合文化研究科助教授。専攻は、哲学
塩谷賢[シオタニケン]
1962年生まれ。東京大学理学部数学科卒。厚生省(当時)勤務後、東京大学大学院に戻って科学哲学を専攻、博士課程修了。元千葉大学リサーチアソシエイト。専攻は、哲学、特に、時間論
村上祐子[ムラカミユウコ]
1968年生まれ。東京大学教養学部卒、同大学院博士課程修了。インディアナ大学大学院哲学科博士課程に留学し、2005年にPh.D.を取得。千葉大学非常勤講師。専攻は、論理学、科学哲学
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感想・レビュー
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ちあき
4
「理性的動物のおぼつかない生き方」という表題の連続公演をもとにまとめられた哲学書。おもに依拠しているのはウィトゲンシュタイン、カント、そしてヒューム。内容をワンフレーズで無理やりまとめるなら「理性とはその用法である」というところか。語り口は翻訳の方針もありひじょうに親しみやすいが、いわゆる「哲学入門」を期待して読むと穏当な結語に至るまでの過程がややハードに思えるかも。哲学・思想にかぶれている/かぶれていた人、とくにプレモダンな原理主義やポストモダンな相対主義にひかれている自覚のある人は解毒剤としてどうぞ。2013/03/05
田蛙澄
1
無矛盾律、ひいては論理法則が世界と統制する最上位の法則であるということに反対することで矛盾許容な思想に反論しつつ、ウィトゲンシュタインの言語ゲーム的視点を用いながら矛盾のあるゲーム行為に無矛盾を過剰に求めること無意味さを説き、カントによる理性の越権による幻想や、ヒュームの懐疑的解決について言及しつつ、如何に懐疑論が哲学的な温室におけるものであり、非概念的な現実とぶつかることで修正されるものであるかを述べていて感動的。また美の相対性を認めつつも、ある文化内の美的レベルの高低は習得的として認めているのも上手い2017/02/10
代理
1
調子にのった時に読み返したくなる本。2011/01/10
コマイヌ
0
無矛盾律を否定したら肯定命題と否定が同じとなるのはなんで?無矛盾律の消去は矛盾命題を恒真式とするのでは無くてそれだけで偽としないのでは?だったらならばの先がいつも真になることはない。無矛盾律を取ってその他の法則を保った公理系?は作れないの? 特に認知的な意味の言葉が規則で表象を表すものじゃないってのは性質は相対的なものだってことで良い? 自己言及を排除したら理論的には問題なくない?豊かさは損なう。 哲学の体系と日常の体系が「それとこれとは話が違う」と表現してきたのの根本か。2014/09/07
ヨウジン
0
かなりの良書だと思います。哲学でありながら非常に読みやすいです。堅牢に思われた理性は実は非常に危ういものであると著者は語ります。理という一見疑いづらいものが、ぎりぎりのところで持ち堪えているとうい事実を認識できます。2012/12/18