出版社内容情報
諸文献に基づきつつ,筆者自身の見聞をもおりまぜなら,仏教の受容形態を中心にシナ人の思惟方法を詳説する。付論として「漢文読解に当たっての合理的解釈」等を収録。
内容説明
固有の聖典と漢訳仏典の比較・分析をとおし、仏教受容の形態を中心に、その特徴を詳述。新編集による決定版選集。
目次
具象的知覚の重視
抽象的思惟の未発達
個別性の強調
尚古的保守性
具象的形態に即した複雑多様性の愛好
形式的斉合性
現実主義的傾向
個人中心主義
身分的秩序の重視
自然の本性の尊重
折衷融合的傾向
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
南北
37
中国仏教の僧侶の言動や経典に対する考え方を中心にシナ人の思惟方法を究明しようとした本である。具象的知覚の重視・抽象的思惟の未発達・個別性の強調・形式的整合性などなどについて批判的に論じている。インドからサンスクリット語の経典を持ってきた玄奘三蔵が翻訳した後で原文を破棄していたなどの話を読むと、批判したくなる気持ちもわかる。仏教から見たシナ人の思惟方法ではあるが、他の面から見ても当てはまるものが多いのではないかと思う。2023/09/25
すーさん
2
中国語は具体的な数や事物を表すものが多く(千里馬、万里長城、矛盾など)、抽象的な思考は苦手とするという論考。 確かに儒教などもいくら理想的とはいえ、現実的側面での話が多く、仏教のようなものとは明らかに違うと思った。2021/06/24
Sin'iti Yamaguti
1
『インド人の思惟方法』を先に読んでいたため、インド人とシナ人の発想の対極性がよくわかる。本著では、どちらかというとシナ人の思惟方法には批判的な眼差しが向けられているようだ。なかでも尚古的保守性、非論理性、訓詁癖、折衷主義など。仏教受容に関しては特に手厳しい。2023/03/26
Kazuyuki Koishikawa
1
実在的な思惟方法を取り空想のはっちゃけ度がインド人のようではない。2012/03/11