内容説明
「オリヴィエ・ド・ブルターニュはわたくしの息子なのです」。ラドルファス院長に打ち明けたカドフェルは、捕虜になったまま所在不明の息子を捜しに、コヴェントリーで開催された和平協議に出席するヒューとともに旅立つ。カドフェルにとってそれは、背教者となる決意をしての旅でもあった。オリヴィエの居場所を突き止め、単身乗り込むカドフェルだが、戦闘に巻き込まれて…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鐵太郎
12
1145年11月、8年に及ぶ内乱に疲弊したイングランドに、光が見えてきます。双方にようやく和解の兆しが表れたのでした。しかしその中で、女帝モードに忠誠を誓う少数の騎士がスティーヴン王側の捕虜となったのですが、その中で身代金で釈放されなかった少数の者がおり、その一人の名がシュロップシャー執行長官ヒュー・ベリンガー経由でカドフェルに伝えられます。オリヴィエ・ド・ブルターニュ。カドフェルは息子を救い出そうとある決心をします。作者急逝により最終巻となったカドフェル・シリーズは、どんな結末を迎えたのか。2005/05/07
塩豆
1
残念ながら、著者の死によってシリーズは未完となって、本来のシリーズの完結がどんな形を予定していたのかはわからない。ただ、この作品を残してくれたことを心の底から感謝したいと思う。
Motoka Hoshi
1
絶筆。プランタジネット朝成立までは時間があるので、後1,2本で区切りが来たのじゃないかと思っていた。大団円を読みたかった。1996/01/31
miya
1
シリーズ最終巻という事で、終わらせるのが勿体なくて少しずつ読んだ記憶が。沢山の魅力的なキャラクター達を助け、導き(というとカドフェルには『導くのは主だ』と異を唱えられそうですが)支える役割だったカドフェルが、支えた人に支えられ導かれ助けられて己を再認識する。大団円ですが、彼はこの後も変わりなく人を助け支えて導いてゆくのでしょう。シリーズ通して、読む側の己の有り様まで考えさせてくれる名著です。ピーターズ自身もカドフェルを大好きだったそうですが、かの国で彼に会えたならいいな。(創作なのは分かってますが)
はなうさぎ
1
社会思想社から出ていた版。訳がちょっと読みにくかったり(誤訳?)もしたけれど、よくこういうシリーズを日本で出版したなと思う。大変楽しませてもらいました。感謝。