内容説明
身近に起こった奇怪な体験談を主題として純粋な“日本風”の怪談をゲーム化した「顔のない村」、ルールを極端にまで単純化し、物語としての完成度を追求した作品で、著者の代表作といえる「送り雛は瑠璃色の」、本文庫用に特別に書き下ろした作品で、“占い遊び”をゲームに取り込んだ実験的作品の「夢草枕、歌枕」を収録。
目次
顔のない村
送り雛は瑠璃色の
夢草枕、歌枕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
UMA-k
2
ジャパニーズホラーとしても、ゲームブックとしても名作。昭和の香りのする、中学生達のどこかコミカルな導入部の裏で、万葉集の呪歌から始まる不穏なストーリーは絶品。出口の見えない困惑すら甘美。エンディングは三つあるが、なかなか難度が高い。読後は、何とも言えない切ない気持ちになる。青春よりまだ青い、そんな年代を思い出す。是非夏の夜に遊ぶことをオススメする。社会思想社版の方が内容的には充実している。
れん
1
この本をまだ愛する方々がいらしたのは感激。そろそろコンピュータがゲームの覇権を握り出したゲームブックブームの後期、「展覧会の絵」とともに登場した国産ゲームブックの傑作。「雛」「橋」「反魂」などをめぐる様々な断片が絡み合ったパラグラフは非常に幻想的かつ、一度では絶対に解けない難解さもあって神秘的と言っても良い一冊。この前後に出たはずの「ローズ・トゥ・ロード」シリーズを想起して、日本人が「ゲーム」を突き詰めると「幻想」に辿りつくのではないかとすら思わせる。2013/11/19