内容説明
フンボルト(1767~1835)は若くしてゲーテ、シラーと肩を並べる古典主義者となったが、ロマン主義の到来をも予見した。自由主義的政治思想をもって国民主義を促した。歴史思想では「史学のベーコン」と称された。ナポレオンに敗北したあとプロイセン改革の一環としてベルリン大学を創立し、近代的大学の理念を基礎づけた。晩年には言語学=言語哲学において前人未到の領域を開拓した。
目次
青春彷徨
政治のなかの人間学
新人文主義の形成
プロイセン改革をになう
国家への転回
クリオの相貌
美しい老年
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
7
「世界の測量」を読んでいたので、このフンボルトは、その中の主人公かと思いましたが、その兄のヴィルヘルムのほうでした。確かにこのシリーズでは人と思想ということなのでアレクサンダーのほうではないのですね。兄のほうは内向的で大思想家ということでベルリン大学なども創設したということで、天才兄弟なのですね。アレクサンダーの家族のことがかなりわかりました。2014/02/09
柳田
2
充実した伝記だった。著者は歴史学者ということもあって、言語学方面については詳しく書かれていないのだが、教育方面でやった仕事についてもかなり詳しく書かれていて、かなり知識が得られた。 フンボルトの多才ぶりが伝わってきて、もともと教育に関してはほとんど素人だったらしい。どうして邦訳とか研究書が少ないのだろう。文人・言語学者というイメージからは書斎に篭っている学者とたう印象をもつが、外交官としてバリバリやる、仕事のよくできる人だったようで、つくづくいい人生だなあと思ってしまう。2018/01/04
Saiid al-Halawi
0
言語研究のエリアしかしらなかったけど、思ってた以上に多面的に研究されてる人物だった。「十八世紀末から十九世紀はじめにかけてのドイツにおける古典哲学や文学の豊穣は、政治的貧困の裏返しにほかならない。」(p.53)ということを考えるなら、まさに時代生んだ人物だったのだろうと思う。2011/10/31