内容説明
フィリップ・K・ディック研究読本。ヴォネガットと並ぶ現代文学の教祖―P・K・ディックの世界を体験する試み。
目次
逃避シンドローム(P・K・ディック)
彼の書いていた世界の中で(J・ワグナー)
人間の無力あるいは作者の消失(笠井潔)
ディック断想(水鏡子)
P・K・ディックの作品群(D・スーヴィン)
目ざめ、叫び、走る(畑中佳樹)
このグロテスクな世界(海野弘)
現実としてのフィリップ・K・ディック(三上晴子)
パラ〈ノイア〉ワールド(大橋洋一)
ポスト・ディック、ポスト・ブレードランナー(山岸真)
ペテン師に囲まれた幻視者(S・レム)
「暴力小説」としてのディック(川本三郎)
超越性の解体(富山太佳夫)
P・K・ディック批評史概説(巽孝之)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tadashi_N
14
作風の成立とサイバーパンクへの萌芽2015/09/23
スターライト
7
レム、スーヴィン、ワグナーの3本の評論を柱に、日本人によるディック論を収録した作家・作品論集。冒頭にディックの短篇あり。僕には難しくてその多くは頭に入らなかったorz。サンリオがディック作品を入手しうるものすべてを出そうと決めたのは、『聖なる侵入』刊行の頃、というのがわかったのは収穫。サンリオの文庫撤退でその志は中途で断たれたが、それを東京創元社が継ぐ形で出し、早川は短篇集で補っている。ディックの全SF作品が全て訳出されるのも、そう遠くはない。2012/08/29
葛井 基
2
サンリオだし高く売れるかもと思って保護したのだけれど、高くはなかた。でも面白く読めたから良いね。レムの評論が拾い物。ユービック読み返そうかな。2017/06/10
まつだ
2
すっげぇ豪華な同人誌。愛しかなかった。2015/04/26
endormeuse
1
冒頭を飾る「逃避シンドローム」は現実感覚の崩壊というディックお得意のパラノイア的主題を濃縮させた短編で、何かきわめてやばいものを読んでいるというような緊迫感を与えるおそるべき傑作。ジェフ・ワグナーの評伝と巽孝之の批評史も資料的価値が高くよかった。2021/06/10