感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スターライト
9
ル=グインのSFあるいはファンタジーに対する考えや創作態度などがうかがえるエッセイ・講演録を収めた書。有名な「SFとミセス・ブラウン」は、ニコルズ編の『解放されたSF』にも収録されている。「SFやファンタジーは逃避の文学である」との意見に対し、それは自由を求めてのものだとの指摘には納得(もちろん、現実逃避と思われても仕方のない作品があるのも事実だが)。巻末のル=グインの書誌チェックリストは詳細で、圧巻。2011/12/11
まつだ
2
ル=グインの講演、インタビュー、短文を集めた一冊。とにかくSFとファンタジーに対する偏見への戦いの言及が多い。とりわけは「アメリカ人はなぜ竜がこわいか」だろう。このエッセイの40年後の今、日本の私が肌感覚として、この「こわい」の共通認識を感じるからだ。ピューリタン的価値観による、現実世界の利益に直結しない存在は無価値であるとする評価は、子供として生き延びる選択肢を放棄しているのではないだろうか。創作、芸術は自由を獲得する術だ、と彼らは恐れるのだろう。2015/04/25
たこい☆きよし
1
いやはや、いろいろなものに対する辛辣ぶりが楽しい。そして出てきたケネス・モリスとキャベル。訳した方々がもう訳したくないキャベル(笑)。自分的にはこの『夜の言葉』は30ン年積んでて今読んで正解。言及される作品そこそこ読んでるのでいろいろわかる。買ってすぐの頃じゃここまで楽しめなかったかも。文学やSFへの極端とも言える論調、スタンスも反感より共感の方が大きい。そして、ずっと一貫して「文体」を語っているのね。その視点がのちの『文体の舵をとれ』に結実するのか。2022/11/03