出版社内容情報
人工知能技術の進歩に伴い、「人間さまお断り」の時代は必ずやってくる。人類はどんな手を打つべきなのか。大胆に切り込む一冊。人工知能技術の進歩に伴い、「人間さまお断り」の時代は必ずやってくる。そのときに備え、人類はどんな手を打つべきなのか。AI研究に草創期から関わった著者が、IT起業家としての視点から大胆に切り込む一冊。
ジェリー・カブラン[ジェリーカブラン]
安原 和見[ヤスハラカズミ]
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えちぜんや よーた
71
AIや機械学習と言うと技術そのものか、もしくは超長期の楽観的な未来予想図が語られがち。大昔から「ラッダイド運動」があるように短期で見ると大量失業と職業訓練のあり方について議論せざるを得ない。本書は技術の進化に伴う雇用制度のあり方に踏み込まれている。日本では(賃金の低い)労働力は不足しているため機械系のAIはスムーズに普及するだろう。だが合成頭脳系のAIの進出は人手が余っているホワイトカラーの存在を考えると非常に難しい。そこで住宅ローンをモデルとした職業再訓練のための「就活ローン」の考え方はとても興味深い。2017/06/30
izw
22
「人間さまお断り」という柔らかいタイトルでどうかな、と思ったのだが、帯にある松尾先生の「ここ数年で読んだ人工知能に関する書籍のなかでもっとも感銘を受けた」という推薦の言葉に魅かれて読んでみた。内容はすごく深い考察に裏付けされた洞察力に富んでいる。5章の人工人格の議論は、法人と同様に人工物にも人格権を与えることの正当性が納得できる。最後に、長期的に人間社会に破滅的な影響をおよぶ恐れがある中でも危険なのが、契約を結ぶ権利と資産を所有する権利だ、という。疑問符をもちつつも、その後の説明を読むと納得できる。2016/09/19
イノ
21
人工知能と労働機械の話。機械が人を怪我させたら責任はどこにいくのか? 本書は他の本よりさらに踏み込んでいる。ヒントはまさかの奴隷制度の法律や中世の動物に対する罰則を見る。 表題は機械が仕事をするので人間様はお断りの意。 いままでの学び方ではなりたたず就活ローンといった 新しい考え方が必要になる。 便利で快適な暮らしの裏で機械が暗躍することになる。最も説得力があってゾッとした。家畜は幸せなのか思わず問いただしたい。しかし僕らはそれを選び未来はバラ色なのだ!2017/04/02
HMax
21
合成頭脳・労働機械、SFでもなんでもない、「必要な技術はすべて、既に出揃っている。目端の利く起業家が出てきて、実現させればすむだけの話。」よーっし、頑張るぞ!!そのために、まずは情報工学の勉強をする必要があるよ。AIが進歩すると、人間は楽になって良いな、と思ってたけど、それは富がうまく分配されたらってこと。でないと100人のために何億人もが召使の生活をしないといけなくなってしまう。アメリカの金持ちは社会貢献に積極的だけど、日本は?2017/04/01
shikada
19
AIの進化のスピードの凄まじさと、それによって生じる社会への影響をまとめた一冊。技術の話から、シームレスに社会経済の話へと移行していく。着実に、加速的に人間ができる仕事は代替されていき、人間が職を得るのは難しくなっていく。本書の例え話でもあるけど、スーパーのおばあちゃん店員がAmazonの運営の仕事をするのは難しい。教育システムの話は納得。いわく、今の教育システムは幼少期に入れた知識で一生働く想定。ただ、変化が速い時代なのでもうそんなのは厳しい。リスキリングの必要性が説かれる理由が飲み込めた。2022/12/26