内容説明
血友病患者のエイズ認定はなぜ2年も見送られたのか?“エイズ第1号が2人”という異常事態はなぜ起きたのか?10年以上も前に輸血によるHIV感染が起きていた!薬害エイズ事件の埋もれた附分を克明にたどるうちに筆者はHIV感染の途方もない広がりと意外な起源に気づいた。NHKの93年入手資料と96年の厚生省公開資料の徹底検証から浮上した行政の「情報秘匿」と「不作為」の驚くべき連鎖。
目次
1章 封印は解かれた(94~96年)
2章 「一号患者が二人いた」(85年春)
3章 アメリカからの警告(83年春)
4章 厚生省は知っていた(83年4月~6月)
5章 消えた一号患者(83年7月~10月)
6章 一九八三年の血友病患者たち(83年7月~10月)
7章 フランス・血のスキャンダル(83年~85年)
8章 追跡「汚染ロット」(83年10月~12月)
9章 日本にエイズ患者はいない(84年夏~冬)
10章 「軟着陸」という解決(85年春~夏)
11章 隠れていた感染者群(83年~94年)
12章 輸血感染者がいた
13章 不作為の連鎖
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マイケル
5
未知のウィルスによる感染。初期対応のまずさが被害拡大。不作為の罪はジャーナリズムにも。輸血感染者までいた。エイズは男性同性愛者、麻薬常習者などの性病と決めつけ対策が後手後手に。顕著に表れた国内エイズ第一号患者発表。血友病エイズ患者が先なのに、ゲイのエイズ患者が出るまで公表せず隠蔽。「血の帝国―日米薬害エイズの舞台裏(マサミ・コバヤシ)」に書かれた米国事情と合わせて読むと理解が深まる。なにしろホームレス、麻薬中毒者などとんでもない人からの売血。汚染血でも混ぜれば分からなくなる。感染対策より金儲け優先の企業。2020/04/14