内容説明
ニューヨーク、作家トルーマン・カポーティのパーティで、彼らはお互いを「見出した」。エレガントなロシア人ダンサー、ルドルフ・ヌレエフとぶかっこうでパッとしない毛色の太った犬、オブローモフは。彼らの親しい関係は、ヌレエフの死を越えて存在し続け、オブローモフを思いがけない愛の証明へと駆り立てた。
著者等紹介
ハイデンライヒ,エルケ[ハイデンライヒ,エルケ][Heidenreich,Elke]
1943年生まれ。ベルリン、ハンブルク、ミュンヒェンの大学でドイツ文学、演劇学、宗教学、新聞学を学ぶ。作家、コラムニスト、司会者。自作やほかの作家の作品を朗読してCD録音も行っています。ケルン在住
ゾーヴァ,ミヒャエル[ゾーヴァ,ミヒャエル][Sowa,Michael]
1945年生まれ。ベルリンの造形芸術大学で芸術教育を専攻。半年間教育に携わったのち、画家、風刺漫画家、イラストレーターとして活動。ベルリン在住
三浦美紀子[ミウラミキコ]
1952年生まれ。立教大学大学院博士課程修了。日本大学・立教大学非常勤講師
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コットン
71
個性的な味のある具象画の挿絵とタイトルの・・・・―あるいは憧れの力…って何?という興味で読みました。バレエダンサーのヌレエフの死後、オルガと生活を共にするヌレエフの犬オブローモフの奇蹟的とも思えるダンスシーンが素敵!2019/01/27
キジネコ
57
情報と時間と才能は金だ!!の、今の世にあって秘密をそっと仕舞っておく心映えや、失ったものを ゆっくり時間をかけて思いやる大切な時間や、人知れず磨かれる才能について物語は私に「計量の叶わぬ次元の麗しさ」を思い出させます。死は関係性の終止符だと思われがちだけど共有した時間は永遠という単位ではかるべきじゃなかろうか。美しきバレーダンサーと早熟な作家トルーマン・カポーテイ。時代の先鋭が遺した「子供たち」が彼らの影を追う。ギャルソンからオブローモフへ。無気力の象徴の如き名を冠して舞う醜い犬の正体は?実に美しい物語。2019/12/14
白のヒメ
52
読メで気になっていた本。これは絵本ととっていいのかしら。短い文章に愛らしい挿絵。バセットハウンドに似ている足が短く太っていて動きの鈍い犬のオブローモフは、天才的バレリーナーだった主人の亡くなった後、どうしても美しい踊りへの憧れが忘れられず、新しい飼い主のベランダのバルコニーで密かにバレーのステップを練習するというファンタジー。好きゆえに種を超えて必死で練習する姿というのは、きっと物珍しくあるゆえに心を打たれるものだろう。うちのワンコも踊らないかしら。そしたらyoutubeでひともう・・・以下自粛。2015/10/23
emi
36
世界広しと言えど、バレエのパができる犬というのは未だかつて聞いたことがない。しかも調教ではなく、自ら美しいものを愛する心からバレエに魅せられ、夜な夜な練習に励む犬…。実在する世界的バレエダンサー・ヌレエフの飼い犬となったオブローモフ。決して痩せてるわけでも、若いわけでもない。そんな彼がヌレエフ亡き後バレエに目覚める物語。あれ、これは史実だったかしらと思わせる文章の合間に、ゾーヴァの絵が、いやいやこれはフィクションだった、と気付かせる。色彩のダークトーンがどこか寂しさとあいまって調和が取れている作品。2015/04/12
星落秋風五丈原
28
『エーリカあるいは生きることの隠れた意味』に続くハイデンライヒとゾーヴァのコンビ作。まるっとしたフォルムの人達 と、同じくまるっとした犬・オブモーロフが過ごした日々を、虚実取り混ぜて描く。後半部分を読んでいて、思い出したのは『ごんぎつね』。いろいろな悼み方があるけれど、西洋はやっぱり派手で綺麗だな、と。見ていただけの犬にインスピレーションを与えるなんて、さすが天才ヌレエフ。2007/07/18
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