内容説明
いまスピリチュアルが大ブーム。かつてはアヤシイと思われていた「守護霊」「前世」「魂」の話題が、軽く明るく普通に語られるようになったのはどうしてなのか?そこには「人は死んでも生き返る」と信じる子どもの増加、「科学のお墨付き」を売りにした「脳トレ」「健康食品」ブーム、「自分の幸せ」だけが大事な内向き志向との隠れた共通点があった―。時代の空気を読むスペシャリストが、ブームの深層にひそむ、日本人のメンタリティの変化を解き明かす。
目次
序章 私の前世を診てください
第1章 人は死んでも生き返る?
第2章 スピリチュアルのカリスマたち
第3章 江原啓之という現象
第4章 スピリチュアルで癒されたい
第5章 スピリチュアルちょい批判
第6章 あくなき内向き志向の果てに
著者等紹介
香山リカ[カヤマリカ]
1960年、札幌市生まれ。東京医科大学卒業。精神科医。帝塚山学院大学人間文化学部教授。豊富な臨床経験を活かし、現代人の心の問題のほか、政治・社会批評、サブカルチャー批評など幅広いジャンルで活躍する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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GAKU
68
スピリチュアリストの江原啓之氏がブームだった10年程前に書かれた本。江原氏をメインに語り、作者は自身をスピリチュアルにハマらない人と位置づけ。理論展開に乏しく軽いエッセイのよう。スピリチュアルを否定しながらも、スピリチュアルブームに乗った、これと言って内容のない本。他人に迷惑さえかけなければスピリチュアルだろうが新興宗教だろうが、何にハマろうと個人の勝手でしょ。ただし私を勧誘するのは辞めて下さい。 2017/04/11
コージー
57
★★☆☆☆精神科医・評論家である香山リカが「スピリチュアルブーム」の真相に迫る。ブームの象徴であり、火付け役になったのが江原啓之。「オーラ」という言葉で、怪しいイメージから払拭した立役者。スピリチュアルは、「私の幸福」を追い求めるものであると筆者はいう。他者への関心が薄いスピリチュアルは、その点で宗教とは一線を画す。何かにすがるという行為自体は否定しないが、自分は今のところハマる気がしない。【印象的な言葉】スピリチュアルを信じるのは「柔軟さ」や「心の広さ」の証拠である。 2018/08/30
カザリ
54
スピリチュアルが個人の幸せ・現世利益から抜け出せない理由は、他者の幸せと来世利益を宗教界がカバーしているからだと思われる。他者の利益まで考えたい人は宗教界に囲われ、そうでくて、ちょっと相談したい人がスピ系にひきよせられるんじゃないかな。江原氏が利他・人類平和を願っても、顧客とメディアから無視されたのは、利他というノウハウは宗教界の専売特許だからだと思う。利他の精神を広めるなら、カウンセラーではなく、宗教の開祖になるべきなんじゃないかな。2017/03/25
maekoo
16
以前から胡散臭いと観ていたスピリチュアルについて見識を深めれる本! 平安文学好きで陰陽道や密教等の呪術的なものの考え方も嗜好としてあるがそれを頼りにするのはどうかと思っていたので読んでよかった。 昨今のスマホ依存や政治の無関心がどこから来ているかの一つの答えでもある様に思う。 貴方は今の自分で良いしそれで良い→世の中や政治への変革を求めない無関心層の増加←ゲームやお笑いで癒しを求める人々! ヒトラーの様な演説・依存媒体であるスマホゲームCM・スピリチュアル等々思っている事が色々と繋がって恐ろしさを感じた!2023/04/02
かんちゃん
14
今から10年弱前の本ですが、古い感じはなくすんなり読了出来ました。スピリチュアルな世界って、科学的に正しいかどうかに関係無く、自分にとって心地よいかどうかで決まるってことですかね。科学とスピリチュアルって結局はベクトルの方向が全然違う『ねじれの位置』みたいな関係ですよね。香山さんも仰られるように、今の世の中的に『内向き志向』を顕著に表したものの一つの象徴なんですかね〜。今の世間の空気感をよく表している本だと思いました。2015/04/02