内容説明
蛆虫どもが跋扈する院内で消えた1億円―命を預かる病院の裏側はドロドロの腐りきった組織だった。弱り切った組織に追い打ちをかけるメインバンクの融資差し止め。猶予は3日。病院を食い物にする銀行や建設会社、創業一族の私利私欲によって、経営難となった地方総合病院で、孤軍奮闘する主人公の反撃が始まる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yam6
5
恐らく著者の実体験を小説化したのだろう。幻冬舎メディカル何とかは、医療者に原稿を書かせて出版することを生業にしているのだろうが、あまり良い噂は聴かないので、この作品は成功した稀有な例だろう。 内容は悪くない。地銀の貸しはがしは今でも横行しており、連中はそれが正しいと思っている。貸すときは「ぜひ借りてください」と揉み手で貸し付け、債務超過すると「赤字経営なのがいけないんだろ、不良債権は整理するのが社会のためだ」。まあ、総じて医者は経営下手だし、逆に稼げば後ろ指刺されるし、大変だよね。2022/11/04
GOTI
3
☆☆★池井戸潤の勧善懲悪、リベンジ小説と濱嘉之の「院内刑事」シリーズを足して三で割った感じ。テンポが良くて軽い、小説と言うよりはノベライズです。地方総合病院の医事課副部長の竜崎がモンスター・ペイシェントや無能な副院長、理事長の権威をバックに権勢を張る愛人看護師を放逐し、病院の健全化を図る。その途上、黒字化が進まない病院に対し、主力行等が融資の差し止め、M&Aによる売却を画策する。理事長一家を含め病院に巣くうパラサイツ(寄生虫)をいかに駆除し再建を果たすのか? 2022/06/09
ヨシシィ
1
親から引き継いだ病院を食い物にする経営者一族と、それに群がる取引先・・・。やりたい放題の地方病院に乗り込んだ豪腕管理職による病院再生ストーリー。筆者の経営者としての経験を元に書かれたフィクションだが、企業にパラサイトするやからが実にうまく表現されている。特に理不尽を絵に描いたような理事長一家と、現場を見ずに数字だけで物事を判断するメインバンクの審査部長は、本当にあるある!2022/07/24
みやちゃん
1
実体験に裏付けされた小説だろう。展開としては平坦だが、企業再生の道筋が描かれている。精緻な描写。池井戸さんのようなエンターティメントには欠けるが、違う意味で読み応えあり、現実に近い。描かれた世界は、こんなもんだろう。人の性は変わらない。自分の生きてきた世界は、そういうものと縁遠かった気がする、これだけの修羅場で生き抜くというのは凄い。次作に期待したい。2022/07/13
Stevie G
1
竜崎理事長、ご苦労様でした。実話に基づいた文章とお見受け致しました。金融は、やはり人を見て仕事をするものですね。2022/04/17