内容説明
日本の未来を語るには、歴史を知らないと始まらない!特に現代生活に影響を与えているのは江戸以降の近現代史。「アメリカのペリー来航が一週間遅ければ国際関係は全く違っていた」「第二次世界大戦終結後にもソ連との戦闘は続いていた」等、秘話満載。歴史という過去を見つめ続けた小説家がこれからの日本が歩むべき道を照らす、現代人必読の書。
目次
第1章 なぜ歴史を学ぶのか
第2章 父の時代・祖父の時代
第3章 中国大陸の近代史
第4章 明治維新が目指した未来とは
第5章 参勤交代から覗く「江戸時代のかたち」
あとがき―書くことと語ること
著者等紹介
浅田次郎[アサダジロウ]
1951年東京都出身。95年『地下鉄に乗って』で吉川英治文学新人賞、97年『鉄道員』で直木賞、2000年『壬生義士伝』で柴田錬三郎賞、『お腹召しませ』で06年中央公論文芸賞、07年司馬遼太郎賞、08年『中原の虹』で吉川英治文学賞、10年『終わらざる夏』で毎日出版文化賞、17年『帰郷』で大佛次郎賞を受賞。15年紫綬褒章受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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to boy
28
浅田さんの講演をまとめたもので、日本の近代をわかりやすく説明してくれています。学校では近代~現代の歴史をちゃんと教えてくれないし、大人たちもタブーを気にしてホントの話を聞かせてくれない。占守島の戦いとか、千島列島の話は初めて知りました。現在、きれいごとを言っている西欧諸国や、外交の下手な日本の政治家(マスコミも同罪)に対し思うことがいろいろと出てきました。著者の作品のガイドブックにもなっている内容で面白い一冊です。2018/07/28
駄目男
20
「歴史は何のために学ぶのか」と言えば「自分が今、こうしてある座標を学ぶ」ためだと浅田氏は云ふ。大体、作家の歴史観が自分と合致するかどうかで、その作家の信頼度が決まってくるというのが私の作家評なのだが、浅田次郎氏はまさに現代作家では最高点だ。『歴史を学ぶとは、現在という高所から過去を審くことよりは、かつて未来の闇に向かって孤独な決定を行った人間の身になることであろう』というのが私の歴任認識。浅田氏の父は大正13年生まれで、私の父より年下、母親は昭和2年で、私の母より年上だが、この世代は、日本史上もっとも過酷2023/11/15
るい
17
心地良くテンポ良く進んでいく文章で進んでは戻りまた要点を絡めてさらに進み、「なぜ日本史を学ぶのは大切か」を淡々と教えてくれる。浅田次郎さんの講演会を聞いているようだ、と思いながら読見終わると、後書きに講演録だと記してあった。2017/10/25
あつ子🌼
16
浅田版近現代史講義です。浅田センセの各地で行われた講演を編集したものですが、大変おもしろかった。新たに知ることも多くあり勉強になりました。 『蒼穹の昴』読了後なので「中国大陸の近代史」が、そして現代にも続く「参勤交代から覗く『江戸時代のかたち』」の章が、特に良かったです。 歴史を学ぶ意味の一つとして、"平和な時代が続けられなくなった理由について考えること。"という浅田センセのお考えに同感です。 私も、学び続けようと思います。2019/07/27
mymtskd
15
浅田氏の歴史小説の舞台は幕末から太平洋戦争までの日中の近代史を扱うものが多いが、それはなぜかという理由が述べられている。今、中国とは政治的には厳しい状況だが、数千年の長い歴史をみれば日本にある多くは中国由来でありこれほど親密な国は他にない。おかしくなったのは浅田氏が指摘するように日清戦争以来のつい100年ほど前からである。歴史を知ることは、これから直面する未来を打開していく手がかりになるのかもしれない。2024/01/18