内容説明
大王製紙社長の長男として、幼少時代は1200坪の屋敷で過ごし、東大法学部に現役合格。27歳で赤字子会社を立て直し、42歳で本社社長就任。順調な経営、華麗なる交遊…すべてを手にしていたはずの男はなぜ“カネの沼”にハマり込んだのか?創業家三代目転落の記。そして、刑期を終えたいま、何を思うのか―。出所後の独白を加え文庫化!
目次
序章 灼熱
第1章 極限
第2章 追憶
第3章 邁進
第4章 君臨
第5章 疼き
第6章 放熱
第7章 熔解
第8章 灰燼
終章 下獄
文庫特別書き下ろし 出所
著者等紹介
井川意高[イカワモトタカ]
1964年、京都府生まれ。東京大学法学部卒業後、87年に大王製紙に入社。2007年、大王製紙取締役社長になる。同会長を務めていた10年から11年にかけ、カジノでの使用目的で子会社から総額一〇六億八〇〇〇万円もの資金を借り入れた事実が発覚。会長職を辞任した後の11年11月、会社法違反(特別背任)の容疑で東京地検特捜部に逮捕される。13年6月、懲役四年の実刑判決が確定し、16年12月14日に仮出所した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ハッシー
88
★★★★☆ カジノに嵌り、100億円以上を熔かした大王製紙創業者三代目の懺悔録。稀有な半生だけに、読み物として面白かった。ギャンブル依存症には賛同できないし、中盤の著名人・芸能人との交友関係の暴露や、週刊誌に対する反論等は不要だと思ったが、それ以外の部分はドラマティックで臨場感もあるし、教訓も得られるので、小説とビジネス書の良いとこどりができている本だと思う。隣の芝生は青く見えるものだが、創業者一族として生まれ、何不自由なく育ったように見えても、それが故に背負うべき業の重さは、他人からは分からない。2019/07/12
Lara
86
経営者としては、優秀な方だったのでしょう。大王製紙社長、会長と順風満帆の人生に見えます。人格的にも、非の打ち所がない、私にはそう思えました。それが、106億円も「バカラ」に注ぎ込んでしまった。ただ、本人曰く、関係子会社から、個人的に借入金として借りた、そこで、嘘をついたり、金額をごまかしたり、不正はしていない、との弁。事件発覚後、速やかに全額返済済み、とのこと。大変な大金持ちだったんですね。ま、創業家ですからね。2023/04/05
yumiko
77
「犯罪小説集」を読んだ機会に気になっていた一冊を。 社長時代の記述を読むに、経営者としての手腕は真にある方だったのだと思う。 しかし200万を種銭と言い切り、会社の資金に躊躇いなく手を出してしまうところに、創業者一族としての奢りがありありと見える。 理路整然とした語り口のせいか、反省というよりは開き直りの弁明を聞かされている感じ。 物見高い読者の興味を満たすための暴露本、正直そんな域を出ていない気がした。 ただあるノンフィクション作家のルポを理詰めで追及する部分はかなり痛快だった。2017/09/26
よしたけ
71
グループ会社からの借入金100億超をカジノで熔かした元大王製紙会長回顧録。反省の弁はありつつ言い訳多い。借入金は返したから実刑回避したかった、借入時グループ会社責任者にお願いしたが強制していない、借入原資はあくまで会社の余裕資金、等。販売戦略かもしれないが、西麻布バーでの芸能人・政治家とのエピソードは余計。現役東大合格、創業家ボンボンながら理詰めで経営改革をした手腕は本物かもしれないが、あまりに人間として弱い。人脈は宝を示唆する多数のエピソード、味方作りより敵を作らない方が大事、と言う教訓は数少ない学び。2022/08/11
ニッポニア
63
この人は何なんだろうか。懺悔録、と言うことですが、「再び」があるんで、この時点ではまだ全然懲りてないんでしょう。故に本書は面白い。クズ(とあえて呼ばせてもらいます)の生態はべらぼうに面白い。読む価値があります。以下メモ。1人では競争意識がわかないため、1人出張所は作らず0か2人。これは使える発想。2022/10/14