内容説明
彼氏がいるのに、別の人にも好意を寄せられている汐梨。バイトを次々と替える翔多。絵を描きながら母を想う新。美人の姉が大嫌いな双子の妹・梢。才能に限界を感じながらもダンスを続ける遙。みんな、恥ずかしいプライドやこみ上げる焦りを抱えながら、一歩踏み出そうとしている。若者だけが感受できる世界の輝きに満ちた、爽快な青春小説。
著者等紹介
朝井リョウ[アサイリョウ]
1989年岐阜県生まれ。早稲田大学文化構想学部卒業。2009年、『桐島、部活やめるってよ』で第二二回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。13年『何者』で第一四八回直木賞受賞。14年『世界地図の下書き』で第二九回坪田譲治文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takaC
236
独立短編集かと思って読み始めたら連作懊悩短編集でした。十九歳って若いね。青春だね。大いに煩悶すべし。うちの十九歳の息子もこういう世界に生きているのだろうかと思うと些と複雑な気分。2015/05/12
せ~や
219
描写の仕方が上手だと思った。短編集なのに、それぞれの章の登場人物のそれぞれの視点で描かれてるのがすごくて、なんだか読んでいて少し楽しかった。誰かから見た「すごい」人は、誰かから見たら「苦手」な人だったりする。それぞれの登場人物が、自分の中の「向き合いたくないもの」に向き合おうとしてる。向き合えたかどうかはまだまだわからなくても、必死に一歩を踏み出してる。学生時代は、みんなそれぞれに必死だったんだと、自分の昔を思い出しました。2016/09/30
masa@レビューお休み中
214
爆ぜるように、勢いよく彼らは飛び出していく。若いということは、それだけで許されている。イケナイ恋をしてもいいし、憧れの女子を好きになってもいいし、叶わないとわかっている夢を追いかけてもいい。間違いは、ひとつもない。彼らの純度の高い想いのカケラは、翼をもって大空へと駆けていく。どの想いも、どの願いも、叶うと叶わずに関わらず、美しくて、少しだけ切なさの熱を帯びている。青春の記憶は、すでに遠い過去のあるものなのに、どこか懐かしくて、何かが似ているように感じてしまうんだ。2015/05/13
hiro
211
主人公は変わっていくが、他の登場人物が短編間でリンクしている5編の連作短編集。『桐島、部活やめるってよ』ではこの若さでこんな表現がよくできるなと感心し、アンシロジー『最後の恋』では他作家の作品より、朝井作品が一番心に残り、エッセイ『学生時代にやらなくてもいい・・』では朝井さんのユーモアのセンスに感心した。一方この作品では、登場する女性達が朝井さんと同世代とはいえ、男性作家が描いているという違和感をまったく感じないのに驚いた。やはり、今この世代の若者を書かせれば、朝井リョウにかなうものはいないと感じる。2014/04/24
❁かな❁
188
朝井リョウさんの作品を読むのは4作目。今回もとても素晴らしかったです☆5編の連作短編集。どのお話も登場人物は20歳前後の男女。いつも朝井さんは人にはバレたくないような思いもきちんと描かれていてとても誠実で心に入ってきます!アンソロジーでもそうでしたが女性の気持ちもリアルに描かれていてすごい!読んでいて登場人物の気持ちになり、切ない苦しい気持ちにもなりますが本当に素敵な作品です☆朝井さん、やっぱりいいですね♪「もういちど生まれる」と「破りたかったもののすべて」が特に良くてうるうるしました★とてもお気に入り♪2014/10/26