内容説明
「『努力すれば何とかなる』『努力してもしかたがない』。その二つは一見異なった態度のようだが、基本的に同じものではないかと思う」。個人が達成感と充実感を得るために、今何をしなければいけないのか?ハバナ・モードとは、ポジティブな気持ちで猛烈な努力を続けること。自分の限界と新たな可能性が見えてくる、大人気エッセイ。
目次
ハバナ・モード
小国スロヴェニアの智恵
犠牲と支配
幻の改革と変化
金正日体制は崩壊するのか
不況と相撲取り
そもそもイラクに治安があるのか
格差の象徴・腕時計
現実をなぞる
衰退し続ける大手メディア
従米から反米への道
無意味な心意気と誠意
希望的観測による外交
イラク人質事件
サラリーマン週刊誌の死
黙ってついていくわ
決定権と責任
答えより、設問のほうが重要
可哀相な自衛隊
姥捨て山を拒否した二人の老人
『13歳のハローワーク』と一生の安定
幸福な原作者
キューバの快楽と『半島を出よ』
うつと、元気と、おせっかい
ハバナの夕日と国家目標
著者等紹介
村上龍[ムラカミリュウ]
1952年長崎県生まれ。76年「限りなく透明に近いブルー」で第七五回芥川賞受賞。「コインロッカー・ベイビーズ」で野間文芸新人賞、「半島を出よ」では野間文芸賞、毎日出版文化賞を受賞。『トパーズ』『KYOKO』で映画監督も務めた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
団塊シニア
25
今までのエッセイ同様、政治経済社会問題、スポーツ、キューバ音楽と幅広い話題に言及してる、大手既成メデイアに対する批判も厳しい、筆者の考え方、発想に異論のある人も少なからずいると思いますが、何事にも設問する姿勢には迫力があります。2013/03/21
冬木楼 fuyukirou
13
「答えより、設問のほうが重要」村上龍の著作の面白さは設問のたて方にあるんだと納得した。 すべての男は消耗品であるシリーズをずーっと読んできた。この本の時点で2003年。書き始めてから20年経過しているそうだ。まだまだ続きます。引き続き読みながら時代を追いかけます。 さて、今回は単行本ではなく文庫本での入手。かなり読みでのある内容なのに文庫になるとたったこれだけ! というショック。2016/04/09
内緒です
9
龍さんは相変わらず危機感をもったポジティブな大人、そういうイメージ。2014/04/07
yahiro
1
ハバナ・モードなるモードがいかなるものかがわかった。2014/10/01
mrbeats197912
1
村上龍は小説よりもエッセイが奇なり。と思っている自分にとって、この本は、彼の本音が明確に表れていて好きだ。例えば。「私は日本的な共同体という曖昧なものに対して、そこから逸脱したり、傷ついたり、戦ったりする個人を描いてきた」。よほど恵まれた生家や才能を持ちえない限り、人は共同体(組織と言い換えてもいい)に属して生きていかざるを得ない。そして、ヒッピーにでもならない限り、「共同体」と「個人」は両立しない。そのジレンマ、絶望の間の不断の努力を村上龍は「ハバナ・モード」と名付ける。私よ、君よ、個人であれ。2013/11/05