内容説明
二〇一一年春、九人の北朝鮮の武装コマンドが、開幕ゲーム中の福岡ドームを占拠した。さらに二時間後に、約五百名の特殊部隊が来襲し、市中心部を制圧。彼らは北朝鮮の「反乱軍」を名乗った。慌てる日本政府を尻目に、福岡に潜伏する若者たちが動き出す。国際的孤立を深める日本に起こった奇蹟!話題をさらったベストセラー、ついに文庫化。
著者等紹介
村上龍[ムラカミリュウ]
1952年長崎県生まれ。76年「限りなく透明に近いブルー」で第七五回芥川賞受賞。「コインロッカー・ベイビーズ」で野間文芸新人賞、「村上龍映画小説集」で平林たい子賞を受賞。『トパーズ』『KYOKO』で映画監督も務めた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yoshida
134
ドルの暴落により破綻した日本経済。長らく米国の「属国」として対米追従を続けてきた日本。米国が経済的にも日本を切り離す時に、日本は「属国」であったと思い知らされる。反米感情が高まるが経済崩壊した日本は世界的にも孤立。北朝鮮は九州を分離させ半島統一後の新たな緩衝地帯とすべく特殊戦部隊を送る。日本では自分の頭で考えることが忘れられている。国防も米国に依存。そして経済を重視し過ぎた結果、長い平和を享受した。だがその繁栄は属国としてのもの。脆く崩壊する現実に警鐘を鳴らす。実際に起こり得る問題提起と言える作品。力作。2020/10/10
遥かなる想い
131
第59回毎日出版文化賞及び第58回野間文芸賞受賞作品。 北朝鮮からやってきた武装コマンドが福岡ドームを占拠し、さらに 市も占拠。これに対して、日本政府は福岡を封鎖・・ 壮大なこの物語は、国際的孤立を深める日本を諷刺しており、 また登場する北朝鮮の人々がひどく男らしかったのを奇妙に 覚えている。近未来として設定された 2011年は既に 通り過ぎてしまったが、日本の状況は変わったのだろうか。
優希
128
面白かったです。北朝鮮の核問題が話題の今だからこそ、リアルに伝わってくるものがありました。北朝鮮の武装コマンドによって占拠された福岡ドーム。反乱軍と名乗る彼らに向かう、潜伏していた若者たちの勇敢さは凄いですね。国際的に孤立した国の危機が迫力あります。描写がくどいのは否めませんが、その丁寧すぎる展開が真に迫るものを感じさせました。下巻も読みます。2017/08/23
あきぽん
121
日本経済の破綻した「2011年」、北朝鮮の特殊部隊が福岡を占領する、という暴力に満ちたディストピア小説。私の頭では把握できない膨大な数の登場人物、文章での残酷描写、それでも圧倒的に面白い。これを読んでいる今の現実も世界はコロナという目に見えない暴力に占領されたディストピアなんだが。2021/04/01
はっせー
113
面白かった! 設定も本当に凝っていてなかなかストーリーが進まないがそれぐらい内容が濃密であることでもある。500ページを越える文庫であったためかなり時間がかかってしまった。だが、上巻だけであるがかなり白熱する場面もあり、日本の上層部の危機管理能力の低さや情報の重要性の認識不足 事なかれ主義 そういった現実にもありそうなこともあったのでとてもリアルだった。下巻も楽しみ!2019/04/17