内容説明
前人未到の脳死肝移植を成功させた当麻は、達成感に身を震わせた。しかしそれは激しいバッシングの始まりでもあった。院内の医師からの抗議、県警からの査問、肝移植研究会の除名勧告など予想外の出来事が起きる。理解者だった島田院長も、近江大が医師派遣停止の通達をするや支え切れなくなる。孤立を深めた当麻は、ついにある決断を下す―。
著者等紹介
大鐘稔彦[オオガネナルヒコ]
1943年愛知県生まれ。京大医学部卒業。早くより癌の告知問題に取り組み「癌患者のゆりかごから墓場まで」をモットーにホスピスを備えた病院を創設、手術の公開など先駆的医療を行う。「エホバの証人」の無輸血手術をはじめ手がけた手術は約六千件。現在は淡路島の診療所で僻地医療に従事する。小説やエッセイなどの著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Tsuyoshi
67
シリーズ完。様々な人々への了解を取り付け知人である台湾の大病院の外科チーフとして赴くまでが描かれていた。一波乱あるのかと期待したものの案外あっさりした終わり方に拍子抜けしてしまった感は否めないので、続巻で今後の行方を読み進めていきます。2018/08/12
Hitoshi Mita
52
最終巻読了!本邦初の脳死間肝移植。それに伴う足の引っ張り合い、バッシング。確かに規則や法律は大事。それが悪法でも。そこに助けられる命をが関わってくる。葛藤が生まれる。それをしなければ助からない二者択一だが、当麻先生は信念を貫く。それにより、追われることになろうとも。信念の人なんだなぁ…。人間は弱いものだ。その弱さをどう克服し、人の為にどれほど関わることが出来るのか…。この後、当麻先生は何処へいくのか。シリーズの続きが楽しみだ。2014/11/26
りずみぃ
51
地方病院で脳死肝移植を成功させたDr.当麻。賞賛も束の間、バッシングに晒される。同僚の妬み、面白おかしく書き立てるマスコミ、メンツの為に怒る学会。横並びを良しとしスタンドプレーを嫌う日本の駄目な部分を見せつけられ暗い気持ちになる一方で希望も感じた。この小説は、ふた昔ほど前-臓器移植法が無く、癌告知がタブーだった頃-のお話。医療問題は今でも山積していて、完璧ではないけど、この頃に比べて確実に良くなっている事がわかった。すごい熱量とボリュームの本でした。2018/05/06
サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥
38
前人未到の脳死肝移植を成功させた当麻先生。しかしそれは激しいバッシングの始まり。医師からの抗議、県警からの査問、肝移植研究会の除名勧告。理解者だった院長も支え切れなくなる・・・・・。優秀な人材ほど周りからの妬みで足を引っ張らっれる。日本の縮図を見ているようですね。 手術のシーンなどはさすが現役医師の書く作品だけあって迫力がありました。ただ、主人公があまりにも出来すぎてスーパーマンなのが残念・・・・・。★★★
青葉麒麟
32
【翔子】に真顔で婚約解消して欲しいと伝える【当麻先生】を冷たい奴だなぁと思って終った(^_-)此の小説、出て来る女性陣がウザったい。2011/12/13