内容説明
実川の上司である卜部教授は、頑として肝臓移植を認めなかった。だが定年後のポストに不安を覚えていた卜部は、手術が成功すれば有名国立病院の院長に推挙するというある人物との裏取引により態度を一変させる。かくして幼児の手術にゴーサインが出され、極秘に本邦初の生体肝移植が始まる。当麻も駆けつけるが、そのとき母危篤の知らせが…。
著者等紹介
大鐘稔彦[オオガネナルヒコ]
1943年愛知県生まれ。京大医学部卒業。早くより癌の告知問題に取り組み「癌患者のゆりかごから墓場まで」をモットーにホスピスを備えた病院を創設、手術の公開など先駆的医療を行う。「エホバの証人」の無輸血手術をはじめ手がけた手術は約六千件。現在は淡路島の診療所で僻地医療に従事する。小説やエッセイなどの著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nobby
121
互いに認め合う実川の存在に加えて、真摯な町医者 蘭が当麻を慕う様に前巻までとは比べようのない安心感が漂う。その一方で、母 峰子の様態悪化や急変を追いながら、ようやく孤高の天才の辿った経緯が明らかになっていく。相変わらず悪い輩達は私欲に動いているものの、何とか生体肝移植にこじつける。その思惑は真っ黒ながら、卜部教授の言動の果たした意味合いは大きい!ただ、悪い予感のまま手術当日にかかってくる一本の電話…そして蘭先生の容体が心配…もちろん手術の結果も気になるばかりで、何とも罪な終わり方!もちろん早めに4巻読む♪2019/03/11
Tsuyoshi
69
シリーズ第3巻。母親の看病や過去の恋人の死に至るまでの経緯など当麻の身にまつわる話が多くを占める中、生体肝移植においても決定権を持つ教授達など関係者の思惑やマスコミ対策などに振り回されつつ何とか実施に漕ぎ着けるまでが描かれていた。母親の病状や肝移植の結果など続巻はどう展開するのか?2018/08/11
キムトモ
50
プライベートも騒がしくなり…おかあちゃんも…そげなことに…聡明な女子にも出会い…一人の大人当麻の周辺が騒がしくなり…盟友⁉️実川の肝移植を助太刀し、自分の目指す医療に邁進しているのか〜当麻〜〜 (ノ-_-)ノ~┻━┻母峰子の病床の姿は自分の父のことを思い出してしまい辛かったなぁ〜〜2019/04/18
りずみぃ
44
生体肝移植の実現を虎視眈々と狙う実川先生、相変わらず来た球全部ホームランにする当麻先生に加え、痔の必殺仕事人 蘭先生が物語に厚みを持たせてくれた。それにしても女性蔑視がひどい。作家さんの傾向なのか、時代背景なのか‥‥2018/05/01
サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥
36
上司である卜部教授は、頑として肝臓移植を認めなかった。だが定年後のポストに不安を覚えていた卜部は、手術が成功すれば有名国立病院の院長に推挙するというある人物との裏取引により態度を一変させる。かくして幼児の手術にゴーサインが出され、極秘に本邦初の生体肝移植が始まる・・・・。うーん何というか、本当にこんな駆け引きで、人の命を預かる手術の可否が決まるとしたら、医療は終わりだ。