内容説明
人気絶頂のロックシンガー椎名ゆかは、コンサート中お気に入りの曲を歌っている瞬間に自分を撃ち殺してくれと頼む。シュウは彼女の額に照準を定めるのだが…(「シュート・ミー」より)。フィッツジェラルドを愛読するセンチメンタルな殺し屋のもとに転がり込んだ奇妙な7つの依頼。急逝した著者がハリウッドで映画化を夢見た幻のシリーズ。
著者等紹介
野沢尚[ノザワヒサシ]
1960年愛知県生まれ。日本大学芸術学部卒。脚本家として数々のヒット作を生み出す。97年「破線のマリス」で第四三回江戸川乱歩賞、「恋愛時代」で第四回島清恋愛文学賞、98年「結婚前夜」「眠れる森」で第一七回向田邦子賞、2001年「深紅」で第二二回吉川英治文学新人賞を受賞する。04年6月27日歿
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感想・レビュー
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とも
43
★★★☆44歳で自殺した作家の晩年の作品。若くてセンチメンタルな主人公の殺し屋が、1編でひとりづつ殺していく連作短篇集。短編は個人的には登場人物に入れきれないため、どちらかというと好きではないが、当作品も御多分に漏れず。とはいえ、その先入観を排しても、冷酷になれず感傷と悩みをもつところには、そうそう接点をモテないものの共感できるところに楽しまされる。2015/06/03
Dai(ダイ)
17
これってファンタジー?面白いか面白くないかと問われれば面白かった。他の作品も読みたいか?読みたい。2015/08/21
mimomo
17
自殺してしまった野沢尚さん。繊細な部分を感じながらも、おもしろかった。その後のシュウに会いたい作品だっただけに、本当に残念。2014/06/29
ミナコ@灯れ松明の火
17
書き古された「殺し屋」という職業について、こんな書き方もできたのか、と感心。陳腐なラストかもしれないし、迫力にも欠けるかもしれないけれどどこかに救いの光すら感じられる優しい物語でした。生きていて欲しい作家さんだった、と強く思います。2011/03/07
007
16
殺し屋になったシュウ。人間味のあるとこもあり、冷徹ではない一面が全体的に冷えた話の中でホッとする。表現もグロすぎず読みやすい文章でした。2016/10/04