内容説明
笙一郎と梁平の三人だけで母の葬儀を終えた優希は、悲しみを振り払うように再び病院に戻っていた。失踪を続けていた聡志は笙一郎の前に現れ、事件の真相と姉への思いを語り始めるが、捜査の手が伸びたことで再度逃走を図り、交通事故に遭い病院に搬送される。意識を取り戻した聡志に、優希は長年抱えてきた秘密を告白する決意を固めたが…。
著者等紹介
天童荒太[テンドウアラタ]
1960年愛媛県生まれ。86年「白の家族」で野性時代新人賞、93年「孤独の歌声」で日本推理サスペンス大賞優秀作、96年「家族狩り」で山本周五郎賞、2000年「永遠の仔」で日本推理作家協会賞を受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えみ
60
焼けつくような哀しみが胸に迫る。なぜ庇護すべき大人が子供に縋って苦しめ追い詰めるのか。生きていていいの?という問いは、死にたいと訴えられるよりその言葉の闇を強く感じ、深い悲しみに一緒に沈んでしまいそうになる。子どもに生死の選択肢など委ねてはいけない。家族の罪、友との罪、過去の罪…そして今また一つ、罪が増えていく。知らない事は罪なのか?秘密を抱えて生きる者たちに訪れる崩壊のとき。誰もが救いを求めているのに、救ってほしい人にその声は届かない。救いたい人にこの手は届かない。もどかしさと虚しさに泣き出したくなる。2022/08/01
アマニョッキ
56
息子に引かれるぐらい泣きました。コトイチの泣き。でもずるいやーこれは。2020/05/05
tengen
55
1979年 心を開いた3人は今までと違う穏やかな心持ちで日々を過ごしたはずなのに。。。 体調良好な優希は年末年始を帰宅で過ごすことになり……そして悪夢は再開した。 壊れた優希と同化したジラフとモウルはある決断をする。 ☆ 1997年 やはり私たちは生きていてはいけないのか?3人は悶々とした日々をギリギリの境で過ごす。だが、聡志は死んだ。そして奈緒子が。2017/03/29
金吾
53
悲劇の連鎖が続きます。優希の母は子供二人を完全に不幸にしてしまいましたが、何故そのような対応しか出来なかったのかなと思いました。娘の訴えを斥けた後に真実を話して欲しいと娘に言うのは成熟出来なかった大人だと感じました。2021/08/11
キラ@道北民
49
誰か1人でも良いから救われますように、と祈りながら一気に読み進める。どうにかして幸せに生きていけるよう考えてくれる人は、周りに沢山いるのかもしれない。自分がその救いを見ようとしていないだけなのかもしれない。2017/02/07