内容説明
安槻大に通う千暁ら仲間七人は白井教授宅に招かれ、そこで初めて教授が最近、長年連れ添った妻と離婚し、再婚したことを知る。新妻はまだ三十代で若々しく妖しい魅力をたたえていた。彼女を見て千暁は青ざめた。「あの人は、ぼくの実の母なんだ。ぼくには彼女に殺された双子の兄がいた」衝撃の告白で幕を開ける、容赦なき愛と欲望の犯罪劇。
著者等紹介
西沢保彦[ニシザワヤスヒコ]
1960年高知県生まれ。米エカード大学創作法専修卒。高知大学助手を経て95年、トリックの限りを尽くした本格ミステリ『解体諸因』で衝撃デビュー。以後、SF的設定と本格推理を融合した独自の小説世界で話題作を続続と発表
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
404
ボリュームもあり満足度高め。ただ、ボアン先輩とタカチの会話なんかでグッとくる場面もあるけれど、ボアン先輩のキャラ造形の良さに負うところが多く、タカチがかっこよく描かれているようには私は思えなかった。ラストの対決シーンも、頭脳戦でバチバチではなく、悪く言えばただ強気に出てみただけのこけおどしだったり。そこはミステリらしく過去の犯罪の物証を提示して、おとなしくしてないと刑務所行きだよ、的な論戦くらいは見せて欲しかった。タックとタカチが狭い世界で傷を舐めあうような危うい関係になりそうな気配も微妙に感じてしまう。2017/12/05
nobby
128
タック&タカチ⑤「そういうことなんだろうさ、きっと。いや、おれは何も知らないけど」いや、ちょっとスゴかった!まずはラスト衝撃な女の闘いに怯える…そこに導く展開がまたヤバい!もう酒浸りな面々が繰り広げるたわいない推理合戦が圧巻!マンション裏口の小石の謎に老婆の幽霊、犬ネグレクト未亡人、無被害連続少女誘拐などの解明に夢中になっていたら、何が何が一つも残さず全部繋がって驚いた!同時に章間で〈ホームカミング〉として語られるタックにまつわる過去は壮絶で痛い…『依存』その悲哀の根本を示すタイトルから零れる余韻は重い…2023/01/04
ダイ@2019.11.2~一時休止
121
匠千暁その6。本作ではウサコが主人公。いろんな謎に絡んでくる依存の問題。途中まで重い展開で進むがイイ感じの終わり方でよかった。2015/09/09
セウテス
84
【タック&タカチ シリーズ】第6弾。今回はタックの過去が明かになる、シリーズ第1部完結という雰囲気の作品です。物語はいつものメンバーで、それぞれの謎をディスカッションしながら明かにする、ディベート型推理がシリーズの特徴です。今回はそれに加えて各章の間に、タックがタカチに自分の過去を打ち明ける場面に、窓越しに居合わせてしまうウサコの視点で描かれるパートが在ります。どの謎もいつも通り、意外な結末を導きだす面白さがある上に、今回は後に伏線として存在する事に驚きです。最後に、依存というテーマが浮かぶのは見事です。2021/09/16
aquamarine
71
タックとタカチの話を盗み聞きするような形になってしまったウサコ。話はそのウサコ視点で数日前からそこに至るまでを振り返る部分とその場との交互に進みます。途中小さなたくさんの事件に対し推論を闘わせていくのはいつものことなのですが、読み終わってみるとそれらが決して独立したものではないこと、視点がウサコでなければならなかったことなど名作と言われる所以に納得しました。現在のタックを作った過去の出来事は重すぎるのですがラストの展開が見事でほっとします。読後タイトルがずっしりと響いてきました。2015/09/07