内容説明
ボブスレーの二番目の選手は何をしているのかと物議を醸し、ボクシングではリングサイドで熱くなる客を注視。さらに、がに股を余儀なくされる女子スケート選手の心の葛藤を慮る、デリケートかつ不条理なスポーツ無責任観戦!読んで・笑って・観戦して、三倍楽しい猛毒エッセイ三十四篇。
目次
ひそかなる故障の楽しみ
客席の集団エゴと案内嬢のひとりごと
日常の真実と私の目の行きどころ
あいまいな日本と優勢勝ち
格闘家の信念と小心者の世渡り
対戦相手のゴツイ顔とお調子者のココロ
レスリングのタイツはなぜ乳首をだすのか
スポーツの語り草と一人歩きする伝説
図書館のスポーツ新聞と利用者の自意識
高校野球とコールド負けの青春〔ほか〕
著者等紹介
奥田英朗[オクダヒデオ]
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライター、構成作家を経て、98年『ウランバーナの森』で小説デビュー。2002年「邪魔」で第四回大薮春彦賞を受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鉄之助
350
日本人の国民性に、勤勉性と共に「故障フェチ」「故障自慢」がある、とは自分の周りでもよく見かけるアルアル・ネタだ。「剣道部の臭さ」も面白かった。単に臭いだけでなく、「十代の若者」のこれから育っていく者の「成長の匂い」が臭さを相殺して不快ではない。フムフム共感。2021/04/20
再び読書
128
スポーツの新しい楽しみ方を、教えてくれた。奥田氏の視線は、ユーモアに満ちている。スポーツ中継で観客に注目している人がいる事と、その楽しみ方を教えてくれる人は稀有だと思う。「俺は男だ!」の丹下竜子は全く覚えていないが、その影響で女剣士を目指す女子が増えたのも興味深い。やはり、目のつけ方が非凡なので、小説も独特の作品を生み出してきたのも頷ける。外国人選手の名前については、共感できる思い出があり、奥寺がドイツのブンデスリーガに行っていた頃、1FCケルンにはチンマーマン兄弟が、シャルケではアブラムチクがいました。2013/04/07
ミカママ
98
私の大好きな奥田英朗節炸裂、というところです!真面目なスポーツエッセイかと思ったら大間違い。ご本人も作家デビュー前、ということでとにかくウケをねらって書いたのかもしれませんね。スポーツ好きにもそうでない方にも絶対楽しんでいただける1冊です!笑2013/03/31
ミホ
95
スポーツに関連した(奥田さん主観ギャグのような)エッセイ集。ショートショートぐらいのがとんとん入っているので区切り良く読めます。奥田さんってこんな人だったんだー(多分入り口違う)個人的に複合競技の件が好きです。『私は冗談を言っているわけではないのである』生活能力付加されたあたりには頷き難し(笑)スポーツ好きな方にはオススメしたいですが、少し前に発刊されたことを知った上、あとゆるい心で見るとより楽しめると(^^)2015/11/08
よこしま
88
コミカルなスポーツエッセイ。◆奥田さんのこの本のタイトルを初めて見たときから読む気マンマンでして。◆本を開くと小説ではなく、ここまでフザケていいのかと思うほどのエッセイ。実に着眼点がいい!甲子園とは無縁な都大会予選2回戦レベルに脚を運ぶくだりや、小学生の50m走における栄誉扱いに酔っていた著者。邪まっぷりは、かの伝説の名投手・沢村栄治にまで及ぶ有様(笑)いやいや、渡米した当時の野茂に対する代弁や、地味なスキー複合や陸上10種目を支持する辺りはお見事!◆気持ち程度、ハンドボールを出してくれありがとう^^;2015/11/12