内容説明
「移送屋」の仕事を始めて三年になるミミは、ある時十四歳の少年の移送を引き受ける。しかし、少年は精神病院への移送中「渋谷の底が抜ける」という謎の言葉を残して逃げてしまった。手がかりを求めて渋谷の駅前を歩くミミは「救世主救済委員会」の存在を知り、アクセスを試みるが…。知覚と妄想の狭間に潜む鮮烈な世界を描く、傑作長篇小説。
著者等紹介
田口ランディ[タグチランディ]
東京都生まれ。広告代理店、編集プロダクションを経て、ネットコラムニストとして注目される。初の長編小説『コンセント』がベストセラーになる
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
130
【birthday book】『コンセント』『アンテナ』に続く著者の「電波系小説三部作」の完結編でしたが、正直読むのがシンドかった作品でした。過去2作は各々独自の世界観をヘヴィな表現ながらわかりやすく描写していたのですが、本作は少しマニアックすぎた感があります。過去2作に比べ、圧倒的に文字数も多く、解説や会話の記述がとにかく長いのです。端的かつスピーディな作風が魅力のランディさんワールドだっただけに残念でした。過去読了作品の中で、もっとも主人公のインパクトが薄く、完結編にしてはやはり残念な結果です。 2015/10/23
HIRO1970
102
⭐️⭐️⭐️ランディさん4冊目。後書きで知りましたが電波系三部作の三冊目だそうで、アンテナをまだ読んでいないのを知りました。本作も摩訶不思議なランディさんワールドをたっぷり堪能出来ました。遥か昔の自分が中高生の頃に変な自信喪失や自信過剰でフワフワと地に足が付かない感じがしていた時を思い出しました。余りにも感覚系の話がぶっ飛んでいるので、著者が薬物系に染まる事が無いのか心配になる程でした。後半は話が壮大になり昔読んだ手塚さんの火の鳥と似た読後感を感じました。凄い創造力豊かな作品で面白くて一気に読みました。2015/10/28
eeko
18
三部作の完結編。昨今の若者は携帯の電磁波に支配されている・・・電車の中ではほとんどのひとがスマホを見てたりしてますね。そんな当たり前の風景なので気にも留めてませんが電磁波は有害になっているのだろうか?そんなストーリーでした。精神障害の話も絡め、通常の状態では居心地が悪くなるから壊れてしまう。それはそうなのだろうけど未来に向かい精神が破壊されるひとがもっと増えていくのではないかと示唆する。ちょっと難しいところありましたけどおもしろかったです。自分の中では真ん中の『アンテナ』が一番好みでした!(^^)!2015/11/13
leo
11
電波系小説三部作の完結編。「コンセント」、「アンテナ」で描かれていたメッセージが色濃く出でいて、一番希望に満ちている結末だった。前作二つを通して表現したかったことはこういうことだったのか、なるほどなるほど。2021/06/23
こみち
9
現代社会で起こり得そうなストーリーで、読んでいて不安感と恐怖感を感じてしまった。2014/12/31