内容説明
実直と評判の男・新兵衛が奉公先の息子を人質に御堂に立て篭った。同心組頭の弟・銕蔵に頼まれ下手人の説得にあたることになった菊太郎は新兵衛が犯罪に及んだ意外な目的を知り、一計を案じる。江戸時代のリストラ問題を描く表題作ほか、公事宿(訴訟人専用旅篭)で起きる事件の数々を居候・田村菊太郎が解決していく時代小説シリーズ第六作。
著者等紹介
沢田ふじ子[サワダフジコ]
1946年愛知県生まれ。愛知県立女子大学(現愛知県立大学)卒業。73年作家としてデビュー。「陸奥甲胄記」「寂野」で第三回吉川英治文学新人賞を受賞
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感想・レビュー
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onasu
14
シリーズものを読み継いでいれば、すんなりその世界に入っていけるのは当然だけど、ここには時代ものにも関わらず「今」にも通ずる、生身の人間臭さとでも言うものがある。 それは著者が言い、解説子がひいている、「テーマは古今を問わない人間の普遍性の中から選んでいる」ことによる。下手に「今」を取り入れたのなら、折り合いの悪さばかりが目立つのだが、ここでは京の街の佇まいやら、その期の文物やらを上手く取り込んでいて、下世話な材料を扱っていながら、独特の風合いを醸し出している。 多数ある続編も追い追い読んでいきたい。2015/06/01
kazu@十五夜読書会
2
ハードカバー読了済み(文庫もダブル登録で、共読本に反映させる)公事宿事件書留帳シリーズ6弾。① 闇の掟 ② 木戸の椿 ③ 拷問蔵 ④ 奈落のみず ⑤ 背中の髑髏 ⑥ ひとでなし ⑦ にたり地蔵 ⑧ 恵比寿町火事 ⑨悪い棺 ⑩ 釈迦の女 ⑪ 無頼の絵師 ⑫ 比丘尼茶碗 ⑬ 雨女 ⑭ 世間の辻 ⑮ 女衒の供養 ⑯ 千本雨傘 ⑰ 遠い椿 ⑱ 奇妙な賽銭 ⑲ 血は欲の色 2012/11/05
igi_tur
1
事情聴取とか、やっぱり時代小説的にはなしだろう。菊太郎の話し方とかも、いちいち引っかかっちゃって読みにくい。あと、奉行所であんな温情判決出るわけない。2009/02/08
いえのぶ
0
京の公事宿の居候のはなし。 雨宿りの親切から容疑者扱いされた。無慈悲なリストラが引き起こした事件など。2015/11/30
こうよし
0
今、江戸時代の京都に住んでるのかな…と思ってしまうような気持ち。菊太郎がいいのはもちろん、周りの人の軽さや人間らしい葛藤がよい。2015/10/14