内容説明
地袋路上通り魔事件、TOSHIの洗脳、酒鬼薔薇聖斗事件、林真須美事件、野村沙知代問題、オウムなど、世の中を騒がせた社会現象の実相とは?そして微妙なバランスの上で成り立っている現実世界の柔軟性の本質とは?普通より少しだけ変わった人たちの哀しくも愛おしい姿に共感しつつ、それでも変わらぬ日常のリアルの数々を綴る名コラム。
目次
1 もう消費すら快楽じゃない(ゴミを愛する人々;通り魔事件と新聞専売所;幼児虐待という病気 ほか)
2 生きるためのジレンマ(人を殺す人、自我を殺す人;母親のお仕事;とほほな人々の生きる道 ほか)
3 世界は二つある(夜明け;植物人間の夢;虫の生き様 ほか)
著者等紹介
田口ランディ[タグチランディ]
東京都生まれ。広告代理店、編集プロダクションを経て、ネットコラムニストとして注目される。初の長編小説『コンセント』がマスコミに絶賛され、ベストセラーになる
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Mina
28
10年以上前ですが、世間を騒がした事件や人物についてのコラム。飲み過ぎて店の女の子の部屋に泊めてもらったらゴミ屋敷だったり、浄化槽の中に入って自殺した男の気持ちを知りたくて駅のロッカーに入ってみたり、人の痛みを知ろうと在宅介護ボランティアをしたりと 好奇心旺盛で何でもやってみるランディさん。真相究明だとか事件を斬るとかではなく、当事者達と同じ目線で事件を語っているので、読みやすく、共感できる事も多かった。2014/08/08
しあん
19
強いメッセージ性を感じた。しかしあまりに軽い。それは、作者の精神面が投影されているから。特に自殺した友人についてのくだりは読んでいて怒りすら覚えた。生半可にかかわるならむしろ、放置するべきである。自死のきっかけを作ったことに気づき、罪悪感を持つべきだ。あまりに軽い。2017/11/02
きなこ
12
「言葉にしたとたん、現実は姿を変える」。帯にもなっていたこの一文がとても好き。時事的な話題が主なエッセイなので、今となっては古い話題も多いのだけれど、面白かった。幼稚園の頃に、「私は子供の時のことをちゃんと覚えている大人になろう」と決めたエピソードを読んで、私が著者の感性に惹かれる理由がわかった気がした。2016/10/15
うちこ
8
この本は2002年に出たもので、当時の事件をきっかけに語りだすトピックが多いので昔のことに感じるかと思いきや、今読むことで世間やメディアの「変わらなさ」が浮き彫りになるような、そんな感覚になります。 「逆さに吊るされた男」を読んだときもそうでしたが、文字を追っている最中に、このエピソードは本当でも嘘でもいいやという気になってくる。著者と同じ視座になれてしまえば即、妙な安心感で最後まで読んでしまう。うれしさと悲しさの同居や揺れがとてもじょうずに書かれており、最後までいっきに読んでしまいました。2018/06/28
彗星
6
日常にひそむ希望と絶望がごたごたつめこまれたエッセイ。人間が普通に生きているって奇跡だなって感じました。絶望を感じる人もいるかもしれないけど…。全ては読者の捉え方次第で見方が変わる不思議な本です。2014/04/03