内容説明
飼育係になりたいがために嘘をついてしまったマサオは、大好きだった羽田先生から嫌われてしまう。先生は、他の誰かが宿題を忘れてきたり授業中騒いでいても、全部マサオのせいにするようになった。クラスメイトまでもがマサオいじめに興じるある日、彼の前に「死にぞこない」の男の子が現れた。ホラー界の俊英が放つ、書き下ろし長編小説。
著者等紹介
乙一[オツイチ]
1978年福岡県生まれ。一七歳の時「夏と花火と私の死体」で第六回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞し、衝撃のデビュー。日本ホラー小説界の将来を担う書き手として、注目を集めている
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ソルティ
372
羽田先生やクラスメイトからじわじわと疎外・迫害を受ける様、マサオの心情の描き方が抜群で共感して辛くて苦しくて途中読むのやめたくなったが逆転・制裁・復讐を期待して一気読み。もっとバッサリやられて欲しかったがこの方が後々まで反省するかも。アオは見た目はグロテスクだが、誰の心の中にもいるかもと思うとありそうな話で、単なるホラーではなく現実味がある。先生って勉強より人間性磨いてほしい。「階層だなんて、そんなものがあっていいはずない。先生を含めたクラス全員の不満を押し付けられる役目なんて、存在してはいけないのだ。」2020/12/13
ミカママ
336
イヤミス王子の肩書き、面目躍如というところ。なによりも恐ろしくやりきれないのは、きっとこういう教師って普通にいるんだろうな、ということ。お子さんがまだ在学中のあなたは読まない方がいい。心臓に悪いので。2017/09/06
yoshida
303
小学五年のマサオは少しの行き違いから、担任の羽田先生に目を付けられる。マサオは羽田がクラスを運営するためのスケープゴートにされ、羽田とクラスメイトからの苛めにあう。教師が担任のクラスを上手く運営するために特定の子供を苛めるなど、あってはならないこと。担任の羽田に本当に怒りを感じた。クラスという閉鎖的な空間で教師という大人の存在は絶対と言える。それだけに羽田の罪は重い。また、マサオが家族に心配をかけないよう、苛めの事実を話さず独りで苦しむ姿はやりきれない。実際にこんなケースもあると思う。ラストに救いがある。2016/04/29
優愛
260
"お前はクズなんだよ!"馬鹿言わないで。マサオは誰よりも思いやりがあって心配をかけないよう必死に笑う、先生と同じ呼吸をする優しい男の子。クズなのは先生の方でしょう。「殺してもいい。でも、殺されてはだめなんだ」言いたいことが言えなくて。押し付けられた立場はあまりに理不尽なものだった。それでもクラスの皆を恨んだりはしなかった。そんなマサオの心を先生は踏みにじってズタズタに傷つけて壊したんだ。あなたみたいな先生が、人気者の肩書きを使って支配を始める人間が一番嫌い。でも誰しもなり得る可能性があるのが怖い所です。2015/02/23
にいにい
219
乙一さん2作品目。でも、1冊目は、「箱庭図書館」だったので、本当の乙一さん初めてかな。続きが気になり、一気に読み切った。学校でのイジメ、特に先生によるイジメが延々と続く。羽田先生は余りにも酷い。実際、こういう人が多く居る気もする。保身のために、スケープゴートを見つけ、人間扱いしない。この考え方にゾッとする。どこでも起こりそうで怖い。主人公は、気弱な面を付込まれ、最下層の不満の捌け口に貶められる。そこから、アオとともに自力で這い上がる。でも、這い上がることが難しい人の方が多いだろう。こんな事無くしたい。2014/03/20