内容説明
遠間憲太郎は長年連れ添った妻とも離婚し、五十歳になりさらに満たされぬ人生への思いを募らせていた。富樫重蔵は大不況に悪戦苦闘する経営者だが、愛人に灯油を浴びせられるという事件を発端に、それを助けた憲太郎と親友の契りを結ぶ。真摯に生きてきたつもりのふたりだが…。人間の使命とは?答えを求めるふたりが始めた鮮やかな大冒険。
著者等紹介
宮本輝[ミヤモトテル]
1947年兵庫県生まれ。「泥の河」で太宰治賞、「蛍川」で第78回芥川賞を受賞。また「優駿」で吉川英治文学賞受賞。著書に『春の夢』『流転の海』『錦繍』など多数。近作に『睡蓮の長いまどろみ』がある
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mura_海竜
140
宮本輝6冊目。読んでいる間、付箋だらけ。読みも当然遅くなる。物語の中で「読んでは考える」それが読書と。このことかなァ(小さい「ァ」終始この会話文)。大阪、男50歳の物語。家族のこと、仕事、女、国に対しての鬱憤、阪神淡路大震災の喪失感、病気、これからどのように暮らしていくのか、行けばよいのか。共感もできる部分もあるが、暗く深刻に考え過ぎていることが分かって、もっと気楽でいいのになァとも思ったり。なんだか最後の圭輔君に心奪われた。子供は未来。魔が差すの「魔」。心が弱ると魔が差す。下巻へ。2022/01/16
たか
56
五十歳になり、満たされぬ人生への思いを募らせる憲太郎と不況に悪戦苦闘する経営者・富樫。人の使命とは何か。 答えを求める二人が始めた人生という鮮やかな大冒険 ▼ 五十歳は人生の後半を強く意識し始める頃。これまでの疲れや、よるべない不安を感じてしまい、憲太郎の人生に自分を重ねてしまう。 あとがきで宮本輝が語る大人の定義が印象的。『幾多の経験を積み、人を許すことができ、言ってはならないことは決して口にせず、人間の振る舞いを知悉していて、品性とユーモアと忍耐力を持つ偉大な楽天家』そんな大人になりたいものだ。B評価2021/10/09
流竜会
42
再読。3回目です。お気に入り。自分の年齢相応の出来事が周りに起こると、何故か読みたくなります。本作は、関西弁で喋るシーンがあちこちにありますが、私自身関西人ということもあり、毎回すんなり読み進めます。そういえば、映画化もされたそうですが、確かに「絵になる」シーンが多いので映像化も頷けます。宮本さんの作品は良作が多いですね。これも良い作品にめぐり会えたと思える一冊です。上下巻、一気に読んでしまいます。k2015/09/10
鈴
36
かなり前にちびえみちゃんからオススメしてもらった本。久々の宮本輝さん。あぁやっぱり読みやすい。そんなに大きなドカンとくる事件はないのに、なぜか気になって読み進めてしまうのは、登場人物に悪意がないからだろうな。でもラストは気になる終わり方で、早く下巻を読まなくちゃ!2016/11/15
ぺんぎん
33
物語はゆっくり進む。50歳のおじさん2人にちびっ子が加わりこれからどんな世界を見せてくれるのか。下巻が楽しみ。2017/10/23