出版社内容情報
『火の粉』で裁判官の葛藤を、『検察側の罪人』で検事の正義を描いた
雫井脩介が問う、弁護士の信念とは? 作家デビュー20周年を迎えた著者の渾身作!
病院で起きた点滴死傷事件。
入院中の4人の幼い子どもたちにインスリンが混入され、2人が殺された。
逮捕されたのは、生き残った女児の母親。
人権派の大物弁護士らと共に、若手弁護士の伊豆原は勝算のない裁判に挑む!
内容説明
「もし万が一、冤罪が生まれるとするなら、それはほかでもない、君ら弁護人のせいだ」病院で起きた点滴死傷事件。入院中の4人の幼い子どもたちの点滴にインスリンが混入され、2人が死亡する。逮捕されたのは、生き残った女児の母親。人権派の大物弁護士らと共に、若手弁護士の伊豆原は勝算のない裁判に挑む!
著者等紹介
雫井脩介[シズクイシュウスケ]
1968年愛知県生まれ。専修大学文学部卒。2000年、第4回新潮ミステリー倶楽部賞受賞作『栄光一途』で小説家デビュー。04年に刊行した『犯人に告ぐ』で第7回大藪春彦賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
445
雫井 脩介は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。著者作家デビュー20周年作品は、法廷W冤罪ミステリ、読み応えがありました。伊豆原弁護士のように優秀で熱意のある弁護士ばかりなら、中々冤罪もおきないと思います。私は、満員電車で常に両手を高く挙げて本を読んでいるので、痴漢冤罪では捕まらない自信があります(笑) https://www.gentosha.co.jp/book/b13839.html2021/09/10
イアン
320
★★★★★★★★☆☆医療事件を扱った雫井脩介のリーガルミステリ。小児病棟で女児4人が死傷する薬物混入事件が発生し、献身的に看病していた被害女児の母が逮捕される。代理ミュンヒハウゼン症候群による犯行か、それとも冤罪か。看護師らの証言を1つずつ拾い上げていくためスピード感にはやや欠けるものの、否認事件の弁護の難しさをリアルに描いている。タイトルの〝霧をはらう〟とは被告人への疑念を払拭する様子を表す比喩として用いられているが、「被告人の利益」だけを追求し濃霧でも関係なく詭弁を繰り返す弁護士に是非読ませたい作品。2022/05/21
やっちゃん
235
紗奈ちゃん最後の手紙がすごく良かった。なんでいい子なんでしょう。伊豆原くん誠実で頑張ったけど判決の決め手は川勝さんの気まぐれでいいのか?あと痴漢冤罪の彼が無罪になって本当に良かった。2023/01/28
いつでも母さん
226
全ての弁護士がこの伊豆原のように親身になってくれるのかーお陰様で弁護士のお世話になったことがない私、まずはそこに気持ちが行った。入院中に2人の幼児が死亡する点滴死傷事件。逮捕されたのは同室で生き残った紗奈の母・小南野々花だった。狭い病棟での人間模様、付き添う親同士の距離感、紗奈の姉・由惟の葛藤・・裁判・判決までの日々がくどいほど丁寧に描かれて、野々花に苦手意識のある私は正直のめり込めない。なのに終盤一人の証言から、それこそ霧を払う様に視界がクリアになるのが良い。それが別の真実が明らかになる事であっても。2021/09/04
蒼
221
始まりは容疑者となってしまった母親の態度に不信感が募り、イライラしておまけに大学進学を諦めた長女が勤めた会社の専務がどうしょうもないクズで、本当にページが進まなかった。学校で、会社で、理不尽な扱いを受けた長女が国選弁護人伊豆原に心を開いていく過程に、このまま伊豆原さんを信用してお母さんを助けてあげてと、祈るような読書になった。専務とは名ばかりのセクハラ、パワハラ、ゲス野郎と、かけられた濡れ衣を押し付けるようにして身をかわして行った同僚女に、はっきりとわかる鉄槌を下して欲しかった。それが唯一の不満。2021/08/13